西岡良仁は常識を信じない。できるだけ一定のフォームで、一定の打点とタイミングでボールをとらえることがサーブの秘訣だが、西岡は時々、タイミングを大きく変える。相手のリターンを狂わせるためだ。強風はテニス選手の大敵だが、西岡はこれを味方にしてしまう。今年の全豪2回戦でシード選手を破った西岡は「あえてゆっくり打って、風でボールをブレさせてミスヒットを待った」と秘策を明かした。強風下で遅いボール、弾道の高いボールを多用するのは常識外だが、リスクと効果を天秤にかけ、面白いかも? と試みるのがこの選手だ。
信じるのは自分の目、感性だ。今回の全仏で開幕前に話題になったのは、ラファエル・ナダルによるボール批判だった。今大会で新たに採用されたボールに、V12の絶対王者が「すごく遅くて重い」と違和感を表した。しかし、西岡の感想は真逆。「打ちやすい。前の週までの(前哨戦の)ボールは重く感じていた」と涼しい顔で言う。
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photograph by Hiromasa Mano