デビューから一世を風靡したかつてのエースが今季、再びライオンズのユニフォームに袖を通した。松坂がその背中を追いかけたもう一人のエースが、帰ってきた怪物について率直な思いを語った。(Number1005号掲載)
初日のキャッチボールで彼が陣取ったのは“親分”の位置だった。今年、14年ぶりにライオンズに戻った松坂大輔は南郷キャンプの初日となった2月1日、当たり前のように、三塁側のファウルラインにもっとも近いところでキャッチボールを始めた。そこはリーダー格の選手が座する場所で、松坂は自ずとキャッチボールだけで格の違いを示すこととなった。思えば松坂は入団会見のとき、こんなふうに話している。
「今の僕が戦力として考えられているというのがライオンズの投手陣の現状なんじゃないですかね。それは選手として悔しいという気持ちを当然、みんなが持っていると思いますし、そういう気持ちは持っていないとこれから先もないと思います」
ライオンズの“エース”として君臨した8年間。それは松坂が18歳から26歳までのことだ。今のライオンズでローテーションを担うドラフト1位の若いピッチャーを眺めると、昨年、10勝の高橋光成が23歳、7勝の松本航も23歳、7勝の今井達也が22歳。この3人がザック・ニールに次ぐ勝ち星を挙げているとなれば、かつての松坂がそうだったように、遠慮することなく松坂のキャッチボールの相手を買って出てもおかしくはなかった。何しろルーキーイヤーの松坂は当時のエース、西口文也とキャッチボールをしているのだ。しかしこのキャンプで松坂の相手を務めたのは若いピッチャーではなくブルペンキャッチャーだった。西口が当時のことをこう振り返った。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Hideki Sugiyama