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昨年のW杯で脚光を浴び、称賛されたのは、日本においてタブー視されてきたプレーだった。ジャパンでその妙技を披露した名手と、代表での指導を担った男が語る、その有効性とは?(Number996号掲載)
初の8強入りを果たした日本代表の大会初トライは、この人の右腕が起点だった。
2019W杯日本代表、CTBラファエレティモシー。
'16年秋に代表デビューしたニュージーランド(NZ)出身の技巧派は、ロシアとのW杯開幕戦、前半11分に片手による「ノールック・オフロードパス」をFBウィリアム・トゥポウに通した。トライ後のスロー映像が流れると、会場が爆発的に沸いた。
「ロシア戦のオフロードパスは良かったです。最初のトライ、トゥープス(トゥポウ)へのパスはサインプレーではなく、状況判断でした。彼のコースを読んで、このあたりだろうとパスを出しました」
WTB松島幸太朗のチーム初トライをお膳立てし、7点ビハインドだった日本は歓喜。ロシア戦では両チーム最多となる3本のオフロードパスを放ち、8強入りへのスタートダッシュに貢献した。
「オフロードパスの良いところはプレーを継続できる点。チームの武器になります」
相手のタックルを受けながら味方にボールをつなげる「オフロードパス」は、W杯日本大会の随所でトライを演出した。スコットランド戦では3連続のオフロードパスから、PR稲垣啓太の劇的な代表初トライも生まれた。
当初、オフロードは不評だった。
しかし、順風満帆だったわけではない。W杯の2年前は、オフロードパスが不協和音を生んでいた。
「本当にオフロードパスを使い続けるのだろうか?」
'17年から日本代表に関わっていた堀川隆延(現ヤマハ発動機GM兼監督)は、強い不安に駆られていた。
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photograph by Kiichi Matsumoto