'99年に日本を出て台湾、MLBの野球を選手やスカウトとして見てきた自分からすると「以前と何も変わっていない」。それが本書を読んだ時に浮かんだ言葉だった。'16年の小・中学生の野球人口の数字を見ると'07年から3割減と「子供の野球離れ」の現状は明らかだ。
それに加え、プロスカウトや元プロ選手、少年野球に携わる監督などインタビューに答えた方々のコメントを読んでいると、日本球界が直面している深刻な現実が浮き彫りになってくる。
著者が取材で集めたさまざまな立場からの意見やプランはどれも興味深く、今後の球界を考える上で重要な証言と言える。しかし、その意見を集約して球界が一つになり、理想像に向かう事は、今のままでは残念ながらないと言わざるを得ない。著者が指摘する通り、長い歴史をもつ日本の野球そのものが、“大人の事情”でプロ/アマなどの壁を有したまま硬直状態にあるからだ。
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