四大大会ジュニアの男子シングルスで日本勢初の優勝。16歳の望月慎太郎が、錦織圭にもできなかった大きなことをやってのけた。「快挙なんて実感はなくて、ウィンブルドンに限らず、大会を優勝できたことは自分の成長だと思います」。一つの試合、平常心、と自分に言い聞かせた決勝戦でのマインドセットがそう言わせたのか。いや、もともとそういう冷静さを持っているのだろう。
「調子に乗るのは絶対よくないと思う」。大事なのはプロになってから、はしゃいでいる場合じゃないと本人が一番分かっている。
盛田正明テニス・ファンドの援助で13歳から米国のIMGアカデミーで腕を磨く。四大大会ジュニア初出場が6月の全仏だった。不思議なバックハンドを打つ選手、というのが筆者の第一印象。無回転の遅いボールが最高のアクセントになっていた。山中夏雄コーチによると、'80年代に活躍した技巧派ミロスラフ・メチージュの動画で覚えた技術だという。赤土の経験は少ないが、そうやって一つずつ引き出しを増やし、4強入りと健闘した。
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photograph by Hiromasa Mano