ここ2年連続で2桁勝利を挙げている広島のエースは、さらなる飛躍を期し“完投主義”を打ち出している。穏やかな表情の裏に、周到な準備と覚悟を隠して。(Number982号掲載)
「1シーズン先発で投げる以上、すべての試合で完投できるようにと思ってマウンドに上がっています。先発、中継ぎ、抑えと分業制の時代になっていますけど、それでもやっぱり、先発が目指すべきは最後まで投げきることじゃないかな」
かつての大黒柱だった黒田博樹のような言葉を、今のエース大瀬良大地は穏やかな表情で当然のことのように語り始めた。
振り返れば、先発10勝で新人王となった2014年は完投3。'15、'16年のリリーフ転向を経て先発に復帰し、また10勝した'17年は完投ゼロ。'18年にはキャリアハイの15勝をマークして、自身初の最多勝を獲得しながら、そのタイトルを分け合った巨人・菅野智之に沢村賞をさらわれた。重要な選考基準のひとつ、「10完投以上」をちょうど10でクリアした菅野に対し、大瀬良は僅か「2完投」にとどまったからだ。
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photograph by Nanae Suzuki