平成9年生まれと、昭和49年生まれ。共に得意技は、無双の背負い投げ――。
日本柔道界の新進気鋭、阿部一二三が孤高の天才、野村忠宏の柔道について語った。
日本柔道界の新進気鋭、阿部一二三が孤高の天才、野村忠宏の柔道について語った。
柔道の世界では「師匠」とは呼べない。
直接の教えをいつも授かったわけではないのだから。
それでも若者は偉大なる先達を深く慕っている。たとえばこんなふうに。
取材場所の柔道場、申し訳ないことに、インタビューを前に目を通してもらう資料に間違いがあった。
「これ、アルジェリアじゃなくてジョージアのはずです」
阿部一二三は、ある選手の国籍についてつぶやく調子で声を発した。
自身の戦績を見ているのではない。いま21歳の日本体育大学4年生が7歳になったばかり、15年前のアテネ五輪、柔道男子60kg級の記録を手元に寄せての一言だ。
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photograph by Yuri Manabe