15歳で入門してから13年間――。
雲の上の存在だった兄弟子の背中を追い、その土俵人生を間近で見続けてきた。
弟弟子が、偉大なる“兄”の素顔を語る。
雲の上の存在だった兄弟子の背中を追い、その土俵人生を間近で見続けてきた。
弟弟子が、偉大なる“兄”の素顔を語る。
「土俵人生において、一片の悔いもございません」
引退会見で真っ直ぐ前を見据え、大粒の涙を流しながらの、稀勢の里の言葉だ。それは、人気漫画『北斗の拳』の主人公・ケンシロウの兄、孤独に生きるラオウの名台詞を意識したものだった。まさにラオウの如く孤高に戦い続けた兄弟子の姿を、傍らで仰ぎ見ていた高安はいう。
「あの涙、かっこいいじゃないですか。それだけ真剣に全力で走り続けてきたということ。そうじゃないと泣けないですよ」
思えば2人は同じ茨城県出身で、同じ野球少年だった。両親の奨めもあり、兄弟子と同じく15歳で入門。当時の稀勢の里は、18歳にしてすでに幕内力士だった。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Atsushi Hashimoto