5年後に東京オリンピックを控えた2015年、公式エンブレムとメインスタジアムという、開催にあたって支柱となるべき2つのデザイン事案が揉めに揉めた末に、いずれも白紙撤回となった。しかし、開催が目前に迫った状況下ではこの大失態に落ち込んでいる暇はないばかりか、2025年に向けて万博を大阪へ誘致する国家事業も着々と進んでいる。
そんなオリンピックと万博という国を挙げての巨大イベントを、デザインの観点から論じることが本書のテーマである。かつてこの国は、1964年に東京オリンピックを、1970年に大阪万博を開催している。ともに戦後復興という切実なテーマのもと、高度成長期というタイミングで国民が一致団結した輝かしい時代を象徴する出来事として語られることも多いが、その内実は現代にも深く通じている。
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