日の丸を背負った小久保裕紀前監督のチーム作りの原点は、バルセロナ五輪にあった。1992年、社会人の選手ばかりの中で一人だけ、大学生としてメンバー入りを果たした20歳の小久保は、世界と戦う“全日本”というチームがいかにして熟成されるのかということを身をもって経験した。
だからWBCでも選手の入れ替えや日本人メジャーリーガーの途中参戦に消極的で、チームの和を優先させるチーム作りを行ってきたのだ。しかしWBCでは準決勝で敗れ、世界一奪還を成し遂げることはできなかった。
そしてこのたび、東京五輪で金メダルを目指す日本代表に稲葉篤紀監督が誕生した。小久保前監督と同じく、稲葉監督にも監督経験がないと言われるが、逆に言えばプロ野球の監督経験があったからと言って国際大会の監督を任せられるわけではない。たとえ日本シリーズなどの短期決戦に強い監督であったとしても、国際大会の戦い方はそれとはまったく違うからだ。むしろ選手として、あるいはコーチとして、国際大会の経験を積んできた稲葉監督は百戦錬磨の指揮官だとも言える。
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photograph by KYODO