レスリングはオリンピック開催年だけスポットライトが当てられる切ない競技。
「アマが強ければプロが繁栄する。プロが繁栄すればアマも強くなる」
テレビ観戦するにつけ想い起こされるのは日本レスリングの育ての親、八田一朗さんの言葉だ。八田日本レスリング協会会長は'74年、東京スポーツ新聞社制定のプロレス大賞選考委員長でもあった。
さて、地球の裏側で行われたリオ五輪で筆者が気にとめていたレスリングでは、男子が銀2、女子が金4、銀1と、計7個のメダルを獲得。上々の成績だった。
しかし、'64年の東京大会、あのメダルラッシュに沸いた現場にいた者には、今回の男子陣の結果に物足りなさのようなものが残る。出場4選手、少数精鋭で臨んだ大会、確かにグレコローマン59kg級の太田忍(22=ALSOK)とフリー57kg級の樋口黎(20=日体大)の銀は賞賛に値するが、「お家芸」とか「伝統を守った」などと言って胸を撫でおろしてはならないのがレスリング界の現状だ。
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photograph by Taketo Baba/JMPA