#861
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<大谷翔平・二刀流生活を徹底ウォッチ> 笑いと衝撃の一週間密着記。

2014/09/26
ある時は投手として、またある時は打者として――。一人二役を担う球界の新星は、どんなスケジュールでペナントレースの日々を送っているのだろうか。グラウンドに足を踏み入れてから球場を去るまでの一挙手一投足を観察すると、大器たる所以が見えてきた。

<9/2(火)札幌ドーム>

 13時50分。明日、先発予定の大谷翔平がグラウンドに現れる。いつものことながら、8頭身、いや9頭身はあろうかという抜群のスタイルにため息が出る。

 手にはブルーのグラブ。足元も、ブルーのジョギングシューズ。報道陣に対し、穏やかな表情で、ほどほどの声量で、「おはようございます!」。さわやかだ。

 14時。三塁ベンチ前で軽くストレッチを始める。仰向けになり、伸ばした腕で、そこを通りかかった入団5年目の大塚豊の足首をつかむ。大塚はわざとらしく顔をしかめ、大谷をにらみつけた。大谷は満面の笑み。

 大塚は含み笑いを浮かべながら語る。

「あいつ、僕のことを完全になめてますからね。ま、かわいいヤツですけど。ロッカールームとかでもいきなり蹴ってきて、やり返すと、倍ぐらいの力でまた返されるんです」

 大谷を観察していると、いつも先輩にちょっかいを出している。そのたび、にらまれては笑顔でかわす。大谷の「被害者」代表ともいえるのが同期入団ながら、大卒のため4つ年上の鍵谷陽平だ。

「いつも馬鹿にされっぱなしです(笑)。最近は、“半ニヤ”で、『今日もカッコいいですね』みたいなのが多いですね」

「年上と年下、どちらが話しやすい?」という質問への機転。

 この後、アップを行ない、投手組に入ってキャッチボール。その際、しきりにセットポジションの構えを気にしていた。14時30分、ブルペンに入り約50球投げ込む。ただし、ブルペンは報道陣立ち入り禁止。45分後、大谷は再びグラウンドに姿を現す。センターへ移動し、やはりセットポジションの構えを入念にチェックしながら、何度となくフェンスにボールを投げつける。「ボコン」という大きな音が札幌ドームにこだました。

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photograph by Hideki Sugiyama

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