#852
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<再録・独占インタビュー> アラン・プロスト、アイルトン・セナを語る。 「美しきライバルは永久に」

「アイルトンのことを今はまだ話せない。もう少し時間が必要なんだ」
'94年のモナコでプロストはこう答えた。それから3カ月――。
ホッケンハイムのルノーのモーターホームで彼は語ってくれた。
時には涙を堪えながら行なわれたインタビューを再録する。

1994年5月1日、アイルトン・セナの死から20年が経ちます。
好評発売中のNumber852号より、アラン・プロストの
インタビュー再録記事を公開します。

――アイルトン・セナが亡くなってから3カ月が過ぎましたが、今でも日常の生活の中で、しばしば彼を思い出すことがありますか?

「キャリアのすべてとは言わないまでも、僕はそのほとんど、F1での10年間を、コース上のライバルとして、彼とともに過ごしてきた。彼が亡くなったことは、すべての人々に厳しい衝撃を与えたと思うけれど、3カ月経った今でも、ほとんど毎日、彼のことを考えているのが事実だ。フォーミュラ1=フェラーリ、あるいは、=他の偉大なドライバー、と考える人がいるのと同じように、僕にとっては今でも、フォーミュラ1=セナなんだ。僕個人にとって、セナは、フォーミュラ1を象徴する肖像であり続けるから」

――特定の状況で彼を思い出すのではなく、彼は今も、常にそこにいるということでしょうか?

「うん、今もまだ、彼を思い出させることはたくさんあるからね。昨日も、ホッケンハイムの予選の結果を見たり、それについて話している人々の言葉を聞いたりして“彼のことをどんどん忘れていってる”と思った。たとえ、毎日のように彼のことを考える人間がいるとしても、たしかに、少し早く忘れすぎる傾向はあると思う。でも僕は、今も彼のことをすごく思い出すんだ。様々なことが、彼を思い出させるから」

メルセデス190のエキシビションで、初めて出会った。

――あなたがアイルトンと初めて出会ったのは、彼がF1にデビューしてからのことでしょうか?

「本当の意味で彼に会ったのは、彼がF1にデビューした直後だった。ニュルブルクリンクで、メルセデス190のエキシビション・レースがあった時、たぶん、'84年か'85年のことだったと思う。たしか彼はすでにF1で走っていたけれど、それより前に彼と出会ったことはなかった」

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photograph by Paul-Henri Cahier

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