日米通算でプロ16年目のベテランは、自身が置かれた厳しい立場を痛いほど理解していた。昨季オフ、ヤンキースとマイナー契約を交わし、招待選手としてキャンプに参加している建山義紀は、言葉を選びながら、しみじみと言った。
「次元の違うところでやられている3人なので、いいものを勉強させてもらえれば、という感じです」
3人というのは、ほかでもない、イチロー、黒田博樹、そして鳴り物入りで移籍してきた田中将大である。メジャーで実績を残してきた2人はともかく、ひと回り以上、年齢が違う田中に対しても、一歩引いた姿勢を見せるところに、心に秘めた、並々ならぬ決意がのぞいた。
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photograph by Yukihito Taguchi