
残した数字はすべてにおいて去年を上回り、
ファンにも、チームメイトにも愛された。
どんな時も前に出る彼の生き方の原点とは?
わずか半年でトロントの野球好きの心を掴んだ、川崎宗則。彼は地元メディアの取材に軽妙な受け答えをして、人気を集めた。
マイネーム、イズ、ムネノリ、カワサキ、アイム、ジャパニーーーーーーーズ!
メジャー初のホームランを打ったとき、サヨナラヒットを打ったとき、チームメイトもファンも我がことのように喜んだのは、英語のできない川崎がマル秘のメモを持ち歩いて英語を話そうとする姿を、愛していたからだ。

1981年6月3日、鹿児島県生まれ。'00年にダイエー入団。'03年、レギュラーに定着し日本一に貢献。'04年に最多安打、盗塁王を獲得するなど、ホークスの中心選手として活躍。'12年、FAでマリナーズ入団。今季はブルージェイズで96試合に出場、打率.229。10月、自由契約に。178cm、75kg。
そのメモは去年のオフ、川崎が妻と二人で福岡の英会話教室に通ったとき、彼女が作ってくれた英語ノートだった。そのノートには、英会話の練習の成果が、びっしりと書き込まれているのだという。
「違う違う、英会話の練習じゃなくて、ヒーローになる練習。オフにずっと、ヒーローインタビューの練習をしてたから(笑)。“My teammates give me an opportunity.”……あれっ、忘れた、やばい、何だっけ、あっ、“I wanted to do something about it.”だ。週に2回、英会話教室行って、ヒーローになる練習をしてたんですよ。実際、役に立ったからね。トロントで、ヒーローになった。でも、メモを見ないで言うつもりだったのに、メモを見たから練習は生きなかったね(笑)。
そりゃ、通訳がいたら助かりますけど、チームメイトが助けてくれますから。英語がわからなくても、“I don't need translator!”(通訳は必要ない)“Because I have you!”(オレにはお前らがいるじゃねえか)。この“you”のところでアクションつけて、でかい声で言えば、『よし、じゃあ、俺が通訳になってやる』ってヤツが続出(笑)。みんな、一生懸命、ゆっくり話そうとしてくれるんです」

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