だが今年は一転、不調に苦しんだ。世界が注目する新世代の旗手は
果たして復調の手応えをつかんだのか――自身が語る現在地とは。
ローリー・マキロイはいつも跳ねるように歩く。あふれる才能と若さが体内でパチパチ弾け合っているようで、何よりゴルフが楽しそうに見える。そんな独特の歩き方は彼のトレードマークでもあった。
10代の頃からポスト・タイガー・ウッズとして期待され、世界中で台頭する新世代のアイコンとして順調にステップアップしてきた。昨年はメジャーの全米プロで2位と8打差での優勝という大会記録を打ち立て、米ツアーと欧州ツアーの両方で賞金王に輝いた。
マキロイがいよいよ覇権を握るときだ。誰もが新時代の到来を予期して迎えた2013年。しかし、ふたを開けてみれば上下に体を弾ませるマキロイのバウンスはすっかり消え失せていた。
メジャーどころか米ツアーでも1勝も挙げられず、プレーオフシリーズの最終戦に残ることすらできなかった。4月のテキサス・オープンで2位となったのが最高で、トップ10は5回と前年から半減。賞金ランクは41位まで落ちた。心地よくフェアウエーを飛び跳ねていた両足は重りがついたかのようにラフに沈み、さえない足取りから抜け出せずにシーズンを終えてしまった。
スイングからスムーズさが消えてスコアを崩す要因に。
RORY McILROY
1989年5月4日、北アイルランド生まれ。'07年、18歳でプロに転向し、欧州PGAツアーに参戦。'11年のマスターズは最終日を首位スタートするも、スコアを崩し15位に。だが、続く全米オープンでは大会新記録となる通算16アンダーを記録し、22歳でメジャー初優勝を挙げた。
きっかけはスイングにあったとマキロイは言う。「いつも出てくる悪い癖」を直そうとシーズン序盤に修正を試みたものの、その小さな変化がスランプへの入り口となった。
「シーズンが始まった頃にはもう悪い癖が顔をのぞかせていたんだ。具体的にはテークバックでクラブがアウトサイドに上がり過ぎて、下りてくる時にループしてインサイドになっていた。それを直そうと思っていたのに、今度は直し過ぎてテークバックがインサイドから上がるようになった。コーチからは、いい選手は大抵そうやってやり過ぎてしまうものだからじっくりと直せばいいと言われた。だけど、ちょうどいいバランスを見つけるのに苦労したよ。ずっといったりきたりの繰り返しで、やっと落ち着いてきたところかな」
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