「僕たちは大学の部活動ですから、被災地に何かを与えるとか、そんな立場じゃない。文武両道を実践して、ひたむきにプレーする姿を見た方が、何かを感じていただけたら嬉しいです」
謙虚な言葉に、誠意と自信がにじんだ。6月2日。大学ラグビー伝統の対決、早慶戦。43対5で完勝した慶大の和田康二監督は、被災地・石巻で試合をした感想を聞かれ、静かな口調で答えた。
対抗戦グループでは昨季まで2年連続5位と、低迷の続く慶大の新しい指揮官は、1999年度の「創部100周年優勝」時に3年生だったクールな司令塔。とはいえ、大学卒業後は外資系証券会社に勤務。コーチを務めた年もあったが、現場からは遠ざかっていた。その間、ラグビーの環境は、戦術、技術、分析、トレーニング理論……すべてが激変した。
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photograph by Nobuhiko Otomo