#821
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<メッシとロナウドの原点をたどる> まだ彼らが何者でもなかった頃。~リスボン、バルセロナ探訪記~

2013/01/31
眩い光が当たる場所で、世界の頂点を賭けて2人が争う様は
もはや見慣れた光景となった。しかし今世紀が始まった頃、
彼らはまだ夢と可能性を秘めた若者でしかなかった。
2つの大きな才能が歩んだシンデレラストーリーは、いかにして
幕を開けたのか――。

 その日の夕方、アウレリオ・ペレイラはリスボンにある自宅で、テレビの実況中継を眺めていた。

 映っているのは、チューリッヒのFIFAバロンドール授賞式の会場だ。舞踏会のような華やかさは、のどかな空気のながれるリスボンとはまったく違う。

 画面の中には、少し緊張した表情のクリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシがいる。ふたりの間には、緊迫したどこかの国境線を分断するかのように、温和な顔をしたアンドレス・イニエスタが座っている。

 もう何度目にしたことだろう、とアウレリオは思った。

「クリスティアーノにメッシ。メッシにクリスティアーノ。もう何年もそうだ。このふたりが世界の頂点にいることは明らかじゃよ」

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photograph by AFLO

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