#789
巻頭特集

記事を
ブックマークする

<名将が見たラグビーW杯> 清宮克幸 「ドラマなき敗戦を受けて」

2011/10/18
ラグビーファンの淡い期待を打ち砕いたNZでのW杯。この結末を
どう見るべきか。日本屈指の名将がジャパンを総括する。

「最低でも2勝」を目標に臨んだワールドカップ。ジョン・カーワン監督(以下JK)率いる日本代表は、1勝もあげられずに終えた。

 早稲田大、サントリーで数々の栄冠を獲得、今季からヤマハ発動機ジュビロの監督に就任した清宮克幸氏は、日本代表をどう見たか。

――カーワンジャパンは、2007年と同じ1分3敗という結果に終わりました。

「私はラグビーを通しての夢や希望、感動をミッションに置いています。ラグビーという競技はすべてを出しあうところでドラマ、感動が生まれると思うんですよね。なのに世界一のチーム、オールブラックスとの試合に2軍を出してしまった。そこに違和感があって残念でした。対戦するチャンスはいつあるか分からないのに」

――先に先発選手を発表したオールブラックスはベストメンバーをそろえましたが、日本のメンバーを見たあと、主力を外しました。

「最初の発表には配慮もあったと思います。被災した国同士、ベストメンバーで戦って復興への元気をというコンセプトだったのではないでしょうか。NZのヘンリー監督は日本に何回も来ていて日本が好きな人です。本来ならBのメンバーで構わないのに、日本への敬意の表れだったと思います。なのにメンバーを知った上で日本はBを出した……逆ならまだしも、と感じました」

―― 一方で、「中6日のトンガに中4日で戦わなければならない日程だから仕方ない」という考え方も成り立つのではないでしょうか。

「成り立たないですね。試合の日程はずっと前から分かっているし、試合と試合の間隔が1週間あるとしたら、多くのチームが試合後3日めから4日めに強度の高い練習をしている。ですから、あくまでも確率の話だと思うのですよ、疲労が早く来る、とか怪我のリスクが増えるとか。時間があったのだからその確率を下げる努力ができたのではないかと」

会員になると続きをお読みいただけます。
オリジナル動画も見放題、
会員サービスの詳細はこちら
特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Asami Enomoto

0

0

0

前記事 次記事