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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
菅野智之37歳はなぜ「打者天国」で12勝できた? 三振率はMLBワースト2%、33被本塁打でもゲームを作る投球で「来年につながるシーズン」
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2026/11/02 17:00
データ的には明らかにパワーで劣っていた菅野だが、弱小チームでなぜ12勝を積み上げることができたのか?
「できることしかできないし、あとは自分の現状というか、背伸びしないピッチングをしっかりする。僕はそんなにたくさん空振りを取ったり、90マイル後半の球を投げられるわけじゃないので」
弱点を受け入れ、己を正確に知る。その自己分析が菅野の投球を支えている。
今季は33本塁打を許し、ナ・リーグのワースト3位の多さだった。昨季もア・リーグ最多の33本。長打は明確な課題だ。ただ、今季の33本の内訳の26本は、走者なしで許したソロだった。傷が浅く済むなら、大胆にストライクゾーンに投げこんだ。
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先発として100球の交代を目安で5~7イニングを投げるためには、ボールゾーンでスイングを誘う、球数が増えやすい投球スタイルでは役割を果たせない。本塁打のリスクを自覚しながらもゾーンで勝負し、四死球で余計な走者を出さないピッチングを選んだ。その結果が、トレード期限直前の7月末までは、クアーズ・フィールドで9先発して7勝2敗、防御率3.78という成績だった。
「打者天国」の本拠地特性を割り引いて考えれば……
球場ごとの有利・不利を算出すれば、実際の防御率3.78よりも好成績を示す数字が出る。MLB公式データによると、2024~26年のクアーズ・フィールドは、平均的な球場を100とした場合、得点の入りやすさを示す指数が125。つまり、同じ打者と投手が対戦した場合でも、平均的な球場より約25%得点が入りやすい環境にある。
これを菅野の防御率3.78に当てはめ、クアーズ・フィールドの不利を差し引けば、防御率3.02になる、という単純計算ができる。この打者天国で、十分に健闘した数字だ。
走者一塁なら、ゴロになる確率が高いゾーンを選ぶ。四球で走者を増やさない。被弾をゼロにしようという発想ではなく、失点を最小限にするためにリスクを管理する。その根底にあったのが、制球力だった。
1年のうちには波もあった。7月の月間防御率2.95から、8月は同8.61へ急落した。それでも菅野は、自分の投球そのものを大きく変えようとはしなかった。むしろ、何が通用し、何が通用しなくなったかを整理し、配球を細かく組み替えた。

