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国民的スターが“悲惨な丸坊主”に「髪を賭けたらおもしろい」抗議殺到、“敗者髪切りデスマッチ”でダンプ松本が仕組んだ「極秘計画」のナゾ
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伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph by東京スポーツ新聞社
posted2026/10/30 17:03
敗者・長与千種の髪をバリカンで刈るダンプ松本
「こういう試合」とは、8月28日に大阪城ホールでおこなわれる敗者髪切りデスマッチだった。ダンプがクラッシュ・ギャルズとして隆盛を極めていた長与千種を相手に、敗者が丸坊主になるというルールで激突する天王山だ。
実は、この世紀の一戦は、松永兄弟の「髪を賭けたらおもしろいんじゃねぇか?」という突拍子もない雑談から生まれたものだった。
4人は、事務所のなかでいつも近くにいた。「おー、兄貴が来たのかぁ」と誰かが言うと、召集をかけるまでもなく、気づけばひとつの場所に集まっていた。社長室(会長室)や応接室、事務所のあらゆるところで他愛もない世間話をして、かほるたちスタッフや居合わせた選手たちと、下ネタや雑談で大盛り上がり。テレビを観て、談笑して、さながら大家族の茶の間のようだが、この戯言のなかにこそ、ビジネスヒントが隠されていた。
かほるが金髪に「おまえ、ほんとにやんのか!?」
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誰かのひょんな発言やひらめきが、会議にかけられることが往々にしてあった。そのプランが見切り発車であっても、高司が「やる!」とゴーサインを出せばスタッフは動いた。決定権は、常に高司が掌握していた。この夏、“ひょん”から生まれたダンプ対長与という一点突破で、全女は女子プロレス界初進出となる関西最大規模の巨大アリーナ(当時)をフルハウスにしようと目論んでいた。
ダンプのアイデアに、かほるは「おもしろいですね」と賛同した。帰国後に改めて、「そういえば、サイパンでした話、どうします?」と聞くと、「やる気があるんだったら、金髪にして来て」とリクエストされた。かほるは一点の迷いもなく、黒い髪を金色に染めた。
豹変した姿で事務所に行くと、高司から「なんだ、おまえ。ほんとにやんのか!?」と仰天されたが、咎められなかった。松永4兄弟は、新たな方向性を見据えた選手たちのパフォーマンスに対しては、いっさい口を挟まなかった。
「リングに入ったら、おまえたちのものだ。リングのなかで起こったことに、俺らは口出しをしない。その代わり、リングから下りたら、会社の言うことを聞け」
高司は常々こう言っており、その線引きはシビアだった。職場をつくるのは、会社の責務。
職務を全うするのは、選手の任務。それなら、かほるはその「任務」に臨んでみようと思った。

