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「大谷翔平でも清宮幸太郎でもなく…あの5球団競合は震えた」ドラフト会議“声の人”関野浩之アナ(64歳)が語る驚きの抽選劇と“運命の1日”舞台裏
text by

谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byShigeki Yamamoto
posted2026/10/22 11:07
当日は朝に会場入りし、持参したマイクをセッティングする。一日の進行とオペレーションを確認し、資料を整理して夕刻の開始に備える。
誰より先に知る指名…高ぶる気持ちを抑えて
入札が締め切られると、関野の前にあるパソコンの画面に12球団の指名が一斉に並ぶ。各球団は、誰を1位に選んだのか。スクリーンを担当する技術スタッフと関野だけが、会場の誰よりも一瞬先にその答えを知る。思わず「おおっ」と声が出そうになる瞬間だ。
「でも、そこで画面を見たまま読むと、間違えるかもしれない。だから、大きく書いたタグを、貼って、読む。これが早くて確実なんです。アナログですけど、一番間違いない。1年目から、どうすれば早く正確に読めるかを考えて始めました」
高ぶる気持ちを抑えて、タグを貼る。そして、あの声で名前を告げる。
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緊迫の1巡目が終わっても、関野の仕事は終わらない。2巡目から育成指名まで、例年120人前後の名前を読み上げる長丁場だ。最後まで集中を切らすことは許されない。
難解な名前の読み上げも「余裕です」
さらに近年は難読の名前も増えた。プロ志望届を出した選手の一覧表には、学校名までルビが振ってあるが、一瞬迷う場面も少なくないはずだ。それでも関野は「余裕です」と笑う。支えになっているのが、約30年にわたるサッカー日本代表の仕事だ。
「国際試合とかで、中東の選手の名前をスタジアムで読み上げてるわけじゃないですか。ドラフト候補選手の名前に比べたら、難易度は高いですよ。初見のカタカナでも、パッと見て読める。名前で苦労しないのは、そのおかげですね」
どれだけ周到に準備をしても、それを会場と画面の向こうへ届けるのは“声”そのものだ。商売道具である喉のケアを聞くと、意外な答えが返ってきた。
「よく聞かれるんですけどね、特別なことは何もしていないんです。強いて言えば、うるさい店に飲みに行かないこと。大きな声を出さなきゃいけない環境に身を置かない。それくらいですね」
サッカー日本代表のMCを終えドラフトへ
ただ、苦い経験もある。以前、プール熱にかかって声がまったく出なくなり、サッカー日本代表のツアー中に仕事を休んだことがあった。仲間に代役を頼み、自分は現地に行っただけで帰ってきた。その経験があるからこそ、少しでも危ないと感じたらすぐに手を打つ。炎症止めの薬を飲む、喉のスプレーを使う、とにかく寝る。予防を徹底し、声を守ってきた。


