第103回箱根駅伝(2027)BACK NUMBER
花田勝彦監督「勝って当たり前かな」圧倒的な個を揃え、出雲駅伝に完勝した早稲田大学の真価が問われる全日本大学駅伝のキーマンとは?
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和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenaga
posted2026/10/23 10:00
〝想定通り〟の勝利を収めた早稲田大学の花田勝彦監督
留学生やエース級が集う3区は、2年連続で鈴木が担い、昨年同様に先頭でスタートを切った。
昨年は区間5位にとどまり2つ順位を落とし、鈴木にとってはほろ苦い大学駅伝デビュー戦になった。今回は「昨年の展開がちょっとフラッシュバックしたんですけど……」と苦笑いしつつ、冷静にレースを進めて区間3位と快走。8人抜きの走りを見せた日大のシャドラック・キップケメイ(4年)に先頭を譲ったものの、従来の区間記録を上回ってみせた。
「しっかりレースを見て、動かすことができた。〝我慢する区間〟を託されて、その役割を果たせたと思います」
2年目の3区は納得のいく走り。混戦の2位争いを抜け出し、キップケメイにも9秒差に踏みとどまり、後半の逆転劇へと繋げた。
4区の新妻は、今季前半戦は増子、本田とともに「令和の三羽烏」と称されながらも、なかなか本領を発揮できずにいたが、ひと夏を越えてぐっと調子を上げてきていた。そして今回、花田監督がMVPに挙げる走りを見せた。
「最初のほうで捕まえて、あとは押し切るレースをしようと思っていました」
まさにそのプラン通りのレース。1km過ぎに日本大学を捉えて再び先頭に立つと、独走態勢を築く。従来の区間記録を10秒も更新する区間賞の快走で、2位との差を一気に16秒と広げた。
あとは、実績ある上級生がビクトリーロードをひた走るだけ。山口と工藤であれば、後手に回る展開でも跳ね返す力を持っていたと思うが、この2人に先頭でたすきが渡った時点で勝負は決していたと言っていい。
5区の山口は、格の違いを見せんとばかりに果敢に飛ばし、新妻に続き区間新・区間賞を獲得する走りで2位との差を23秒に広げた。
そしてアンカーの工藤は、駅伝のセオリー通り前半を抑えて入った。
「5区までの選手たちのおかげで、かなり余裕を持って走れました」
2位に浮上した國學院大の髙石樹(2年)に差を詰められてもまったく慌てることなく、後半に入ると一気に差を広げ、ウイニングランを飾った。
余裕を持ってレースを進めながらも、終わってみれば6区の日本人最高タイ記録をマークして区間賞を獲得。
「優勝候補の大本命とされる中で、力通りの走りを6人全員がしたことで、今回の優勝につながった」
工藤が優勝インタビューでこう話したように、〝圧倒的な個〟が6人揃った上に、それぞれ力を発揮したのだから、他校に付け入る隙はなかった。
全日本大学駅伝に向けてのテーマ
「まずひとつでも勝てたことで、チームとしては勢いが出ると思います」
自信を持って臨んだとはいえ、ライバル校にも力はあった。それだけに、2010-11シーズン以来となる大学駅伝での優勝に、花田監督も胸をなでおろしたことだろう。
これで大学駅伝三冠への挑戦権も得たわけだが、それがそんなに簡単ではないことも重々承知している。
「次の全日本大学駅伝でどれだけ勝負できるかが、箱根駅伝につながってくる。これで油断せず、勝って兜の緒を締めていきたいと思います」
次なる伊勢路でのレースに向けて、気を引き締め直していた。
花田監督は、レース前に「今季はチーム上位の7人が軸になる」とも話していた。その7人とは、出雲駅伝を走った6人に増子を加えた7人だ。となると、次戦の全日本大学駅伝(8区間)では、残る1枠を担う選手が鍵を握ることになりそうだ。
出雲駅伝で補欠に登録されていたルーキーの上杉敦史、前回の箱根駅伝9区で2位と快走した駅伝主将の小平敦之(4年)、ルーキーイヤーに3つの駅伝すべてを走った堀野正太(2年)、3000m障害で日本トップクラスの実力を持つ佐々木哲(2年)と、残る1枠を争う面々もタレント揃いだ。
「他の大学も非常に力が拮抗している。今度は追われる立場になると思いますので、自分たちらしいレースができるように頑張りたいと思います」(花田監督)
抜かりのないオーダーで、全日本大学駅伝でも頂点を狙いにいく。


