第103回箱根駅伝(2027)BACK NUMBER
花田勝彦監督「勝って当たり前かな」圧倒的な個を揃え、出雲駅伝に完勝した早稲田大学の真価が問われる全日本大学駅伝のキーマンとは?
posted2026/10/23 10:00
〝想定通り〟の勝利を収めた早稲田大学の花田勝彦監督
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Yuki Suenaga
大学駅伝シーズンの初戦となった出雲駅伝は、前評判が高かった早稲田大学が16年ぶりの勝利を手にした。しかも、6区間中4区間で区間賞を獲得し、2位の國學院大學には58秒もの大差を付ける圧勝だった。
「『優勝するならば、複数の区間賞を獲れないと勝てないよ』という話はしていました。そういう意味で、理想としていた展開になりました」
選手たちは存分に力を発揮し、就任5年目の花田勝彦駅伝監督が思い描いていた通りの展開となった。いや、想定以上と言っていい。指揮官は従来の大会記録(2時間7分51秒)よりも速い「2時間7分40秒前後」をフィニッシュタイムに想定していたが、そのタイムをはるかに上回る2時間5分56秒の大会新記録を打ち立てたのだから。
例年より約4時間スタート時間が早くなり、近年のなかでは好条件に恵まれ、7位までが大会新記録いうとハイレベルなレースとなったが、その中で早大は頭ひとつ抜けていた。
「チームの構成上、短い距離に適性があるので、ある意味、〝勝って当たり前かな〟と思っています。勝たなきゃいけなかった。他校に失礼になりますが、勝たないと次につながらないと思っていました」
冷静かつ決して大口を叩くことがない花田監督が、レース後にこう言い切っていたのだから、今回ばかりは相当自信があったのだろう。
花田監督がたびたび口にしているのが「圧倒的な個」という言葉だ。駅伝監督に就任した2022年6月以来、一貫して「圧倒的な個の育成」を指導理念に掲げてきた。
出雲駅伝を駆けた充実の顔ぶれ
今回、出雲駅伝を走った面々は、まさにそのような選手たちだった。その顔ぶれと主な実績は以下の通りだ。
1区 吉倉ナヤブ直希(3年)……日本インカレ10000m3位
2区 本田桜二郎(1年)……U20世界選手権3000m銅メダル、日本選手権1500m2位
3区 鈴木琉胤(2年)……日本選手権5000m4位(学生トップ)、U23アジア選手権5000m金メダル
4区 新妻遼己(1年)……U20世界選手権3000m 11位、U20アジア選手権1500m5位
5区 山口竣平(3年)……日本インカレ10000m優勝、5000m今季日本人学生最高記録
6区 工藤慎作(4年)……ワールドユニバーシティゲームズ ハーフマラソン金メダル
日本代表経験者や日本学生長距離界でトップクラスの選手たちが各学年におり、そのような選手が6区間に名を連ねた。
さらには、5000mのU20日本記録保持者の増子陽太(1年)が〝スーパーリザーブ〟として控えていた。
「増子陽太も非常に調子が良かった。たぶんチームの中で3、4番目ぐらいでしたが、連戦で気持ち的にちょっと疲れている感じもしたので、今回は大事をとって休ませました」(花田監督)
本来は前半区間を担う予定だった山口が前の週に体調を崩したため、〝つなぎ区間〟とされる5区に回る微調整はあったものの、盤石なオーダーと言っていい。
その上で、レース運びにも隙がなかった。ヒヤッとしたのは1区の吉倉が早々に先頭集団から遅れた時ぐらいか。
その吉倉も、最終的には「許容範囲」にまとめた。終盤にかけて先頭集団からこぼれてきた選手を拾っていき、先頭と16秒差の7位でつないだ。
2区の本田は、最短区間の2区で持ち味のスピードを存分に発揮した。
「何も考えずに走ったというのが一番ですけど、とにかく中央との差を詰めることを意識していました」
本田は早々に中央大学の岡田開成(3年)らの集団に追いつくと、最後は順天堂大学の吉岡大翔(4年)や岡田ら他大学のエース格を突き放してトップで中継した。


