バレーボールPRESSBACK NUMBER
高橋藍の闘志、西田有志が体現した“プラス1m”…男子バレーなぜ強い?「“ちりつも”です」ティリ監督が“タレント軍団”に徹底した5つの約束事
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byJVA/AFLO SPORT
posted2026/09/17 11:05
攻守にわたって活躍した高橋藍と西田有志
『“戦う”というマインド』は、練習からも伝わってきたし、もちろん試合でも。特に高橋がアジア選手権中、コートの中でいっさい笑わないのが印象的だった。普段の試合では得点を決めた後などに笑顔を見せるが、今大会は終始張り詰めた“闘将”といった顔つきで、得点を決めれば鬼気迫る表情で吠えた。今大会では、2位の選手の倍以上となる22本ものサービスエースを奪ったが、サーブに向かう時の目は集中力が極まり恐ろしいほどの迫力があった。決して笑顔を見せることが悪いわけではないが、今回の高橋からは覚悟がビシビシと伝わってきた。
優勝を決めたあと、そのことについて聞くと、こう答えた。
「本当に最後の1点を取るまで、自分自身は気を抜きたくなかったので、常に気を張っていました。常に“1点”というところを狙っていたので、あまり笑うシチュエーションはなかったんじゃないかなと思っています」
ADVERTISEMENT
『スパイク効果率』についても、決勝のイラン戦こそ被ブロックが多かったが、準決勝、準々決勝は、スパイカー陣が難しい場面ではリバウンドを取り、山本、小川を中心に周囲が必死にフォローして攻め直し、最終的に自分たちの得点にするという粘り強い攻撃ができていた。
『プラス1m』で目を引いたのはやはり西田だった。オポジットという攻撃が重視されるポジションながら、元々守備への意識も能力も高いが、今大会はチームを救う好守備がこれまで以上に際立った。しかもデータや読みもフル稼働させた上での一歩が早いから、ファインプレーには見せない好守備も多かった。
『サーブレシーブ』は、特にネーションズリーグで課題だったフローターサーブに対して改善されていた。ネーションズリーグでは石川が崩される場面が多かったが、アジア選手権では、特に決勝のイラン戦で、狙われながらも安定したレシーブを返していた。首を痛めてゲーム練習に参加できなかった間、隣のコートで黙々とサーブレシーブ練習を繰り返していた成果だろう。リベロのカバーリングもスムーズになっていた。
ミドルブロッカーの手応えと課題
そして『アグレッシブなブロック』。今大会、ミドルブロッカーの小野寺とエバデダン ラリーが揃って、全体2位の12本ものブロックポイントを稼いだ。アジアとはいえ、国際大会で日本の選手がブロック部門で2人とも上位にランクインするのは異例のことだ。
“アグレッシブ”の意味について、決勝後、エバデダンはこう明かした。
「日本の強みとして、やっぱりディフェンス能力に長けているので、以前はブロックで無理矢理点数を取りにいかなくてもいいという戦術だったんです。だからミドルは(ディグとの関係で)あえて間を開けたり、抑えるべきポジションを抑えることに重点を置いていたんですけど、そうではなく(ブロックポイントを)取れるところはしっかり取っていくという意味だと僕は捉えています。
今大会は、ミドルが(これまでの戦術から)逸脱して、行けるところではブロックを取りにいくという場面は結構多かった。わざと開けるブロックから、止めにいくブロックとなると180度ぐらい違う。手の出し方も、マインドも、すべて変えていました」
イランとの決勝でも、一進一退の展開の中、エバデダンはチームを救う値千金のブロックを2本決めた。だが試合後、少し不満そうにこう言った。
「いいところでブロックが出たのはよかったなと思う反面、いいところでしかブロックが出ていない。もっと止められたなと。掴みたいところで掴みきれなかった印象があるので、そこは課題として残りました」
ロス五輪切符獲得という今年最大の目標を達成してなお、課題を挙げるところが頼もしい。
今回はアジアでの戦い。対世界に向けてはさらにブラッシュアップが必要で、戦術も変わる可能性はあるが、この日本代表が再び世界とあいまみえる日が楽しみだ。


