甲子園の風BACK NUMBER
「野球部は金も時間もかかる」「親の人間関係も大変…」野球部の親が悩む“4つの壁”は本当か? 普通の公立野球部に密着…拾い物で練習環境整備→初勝利した話
text by

樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byYuki Kashimoto
posted2026/09/13 11:00
初心者もいる普通の公立野球部を取材。「野球部のイメージ」は本当か?
柴田が「本当に必要か」と疑ったのは、道具だけではなく保護者の負担も同じだ。今年8月下旬、水戸三野球部は中学生向けの体験会を開いた。2日間で約50人が集まる盛況だった。
柴田が保護者に向けた言葉は3つ。「保護者会費はありません」「遠征費もありません」「土日の練習試合だけ、送迎を手伝ってもらうことがあります」。部費は月1万円以下、道具やウェアも必要に応じて貸し出す。柴田は「お金がかからないこと」「不安なく野球ができること」を、いい選手を集めるための言葉としてではなく、その後ろにいる家族に向けて伝えている。
公式戦初勝利の快挙!
体験会を迎える直前、水戸三には歴史的な快挙があった。8月中旬、創部初の公式戦勝利を挙げたのだ。秋の県大会につながる水戸地区1次予選、波崎高校との一戦は延長11回のタイブレークまでもつれた。3―6から水戸三が4点を奪い、7―6のサヨナラ勝ち。走者一掃のサヨナラ打を放った三村優斗(2年)は、中学時代にサッカーで名をはせた選手だった。
ADVERTISEMENT
創部1年目の2024年夏は3校連合で0―23。2025年夏、初めて単独チームで挑んだ試合は2―19。3学年がそろった2026年夏は2―13。全てコールド負けが続いた中でつかんだ公式戦1勝は、来年の部員募集への追い風になる。
しかし、専用グラウンドも予算もない。水戸三のような「家計簿野球部」が持続可能な組織であり続けられるのか。正直、まだ誰も確信を持てているわけではない。
「野球部の壁」を回避しようとする水戸三の運営法は、保護者からどう見られているのか。野球初心者も多い野球部、その親たちに話を訊いた。
〈つづく〉


