野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
「あいつはね、長嶋さんなんだよ」日本ハム元GM高田繁が新庄剛志を絶賛するワケは…「俺だって聞いてないからね。ひっくり返ったよ」
text by

村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byKoji Asakura
posted2026/09/14 17:26
2006年の優勝パレードでファンに手を振る新庄剛志
新庄には本当に世話になったよ。素晴らしい選手だった。だけど、あいつ開幕早々の4月にいきなり「今年で引退します!」なんて、お立ち台で宣言しただろ。あれ、俺だって聞いてないからね。ひっくり返ったよ。
「俺には天地がひっくり返ったって思いつかない」
俺はチャラチャラしたことが好きじゃないのはわかるよな。だけど、新庄だけは許せるんだよ。なんで? あいつ、プレーが一生懸命なんだ。打つことも、一塁まで走ることも手抜きしない。そして外野守備がまた絶品だろ。足・肩・瞬発力だけじゃない、打球への勘の良さ、ポジショニングなんてものは、しっかり試合の中でプレーに集中して準備しないとできないこと。あいつのチャラチャラしたプレーは一度だって見たことがない。
ならばパフォーマンスはどうなんだって? まぁ~次から次へといろいろやってくれたね。俺には天地がひっくり返ったって思いつかないからね。被り物を被ったり、札幌ドームの天井から降りてきたと思ったら、大型バイクに乗って登場したりね。よくもまぁ、ああいうことを考えつくもんだと感心するよ。川上さんが見たら卒倒しちまうよ。
「あいつは自分一人が目立てばいいなんて思ってない」
ADVERTISEMENT
組織の規律を重んじるならね、「練習前は同じユニフォーム着て、試合に備えてちゃんと準備しろよ」となる。
でも俺は文句を言ったことはなかったな。あいつはね、長嶋(茂雄)さんなんだよ。新庄の目線は、常にファンを向いているの。北海道に移転したばかりの、まだ日本ハムなんて誰も興味を持ってくれない人たちの目を向けさせて、札幌ドームを満員にすると言ってね。実際に連日のように満員にしただろ。あいつは自分一人が目立てばいいなんて思ってない。お客さんは最初のきっかけこそ新庄を面白がって見に来たとしても、ファイターズであり、他の選手を好きになって帰ってもらおうとしている。北海道に日本ハムが根付くことができたのも、新庄の貢献が大きいよね。パフォーマンスだけじゃない。あいつはちゃんと芯がしっかりしているんだ。
『後ろ姿のない男 高田繁と日本野球の70年』(村瀬秀信)は全国の書店にて大好評発売中です。


