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「1勝するのってしんどいなぁ」ヤクルト石川雅規がつぶやいた日…スピード全盛時代も貫いた“3次元の魔術”「挑戦できるのは幸せ」さらば小さな大投手
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2026/09/02 11:51
引退を決断した登板は8月27日巨人戦。決意を秘めて先発マウンドに上がったが左肩を痛め1回もたず降板した
「欺く」3次元の魔術
昨今の投手はブルペン投球でもトラックマンなどの最新機器を活用し、数値と感覚をすり合わせながら調整しているが、44歳の左腕はそういった数値もほぼ気にしないという。
「回転数とか落ち幅とか可視化されて分かりやすいデータはあるけど、正直あまり見ない。タイミングって数値化されないんですよ。バッターが見えづらいとか、打ちにくいとか、思ったより球が来るとか、来ないとか……“欺く”っていうんですかね。僕はそこで抑えているので」
そう、石川の戦う場所はブルペンでもマウンドでもない。打者に相対する18.44mの“間”にある。スルリとかわし、ヒラリといなす。打ち気を逸らし、空を踏ませる。そしていつの間にか、アウトを重ねている。
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「よく投球術、と言われるけど自分ではピンと来ないんです。僕にはビタビタのコントロールがあるわけじゃない。高低左右への制球力というより、奥行きというか前後の緩急を大事にしているんです。緩い球と速い球、打者に錯覚を起こさせて抑えるようなイメージです」
「小さな大投手」の真骨頂は、3次元の魔術にあるのだ。
「キャッチャーのサインが見えなくて…」年齢との戦い
2002年に青学大から入団し23年目を迎えた今シーズンは、もどかしい戦いが続いている。開幕から2試合はいずれも5回を2失点以内に抑えながら勝ち星がつかず。3度目の先発となった5月19日の阪神戦では、4回に3連打を浴びるなど7安打4失点と乱調だった。プロ野球新記録となる「新人から23年連続勝利」は持ち越しとなっている。
気づけば球界最年長。変わらぬ童顔も、帽子を取れば白髪交じりのグレーヘアに重ねた歳月がにじむ。
「目からきました。老眼ではないんですけど乱視が酷くて、疲れてくると見えなくなるんです。特に雨の日やナイターはヤバい。キャッチャーのサインが見えなくて、シンカーかな、って何となく投げたら当たっていたこともありましたよ(笑)」


