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甲子園の風BACK NUMBER
「もう投げる場所がない」弱気発言の6日後…沖縄尚学・末吉良丞“まさかの復活”に密着「末吉を完璧に守った」比嘉公也監督がニンマリした“ある瞬間”
text by

松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byTakarin Matsunaga
posted2026/07/25 17:01
沖縄県大会の準決勝と決勝に登板し、2年連続の甲子園を決めた沖縄尚学・末吉良丞。復活のウラには比嘉公也監督の深謀遠慮があった
誰もが「まさか!」の思いだった。登板があるとしたら点差が開いた場面での1イニングか2イニングなど、復帰戦にふさわしい楽な場面を想定していたのが、準決勝での先発だ。投球を見られる期待よりも「末吉が潰れてしまうのでは」という不安が上回った。
2イニングか3イニングのショートスターターであってほしいと願いつつ、故障明けの末吉の状態を注視した。しかし、そんな思いがすべて杞憂だったと理解するのにそう時間はかからなかった。
初球は少し力が入ったせいかワンバウンドになったものの、球速は144kmを計測。そこからはさして緊張した様子も見せず、勝手知ったる庭のごとく、常時140km台の真っ直ぐとブレーキのきいたカーブ、そして伝家の宝刀のスライダーを駆使して、6回87球、被安打2、四球1、奪三振8で無失点。打線も好投に応え、7対0の7回コールドで快勝し決勝に駒を進めた。
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140km以上が42球あった。4回から抜けたボールが目立ちだしたが、3回は三者三振に切って落とすなど故障明けとは思えない鋭い腕の振りを見せてくれた。
この夏、“本当の末吉の顔”を初めて見た
「(準々決勝翌日の)月曜日に登板を伝えられました。実戦練習で打たれていないから、と。先発をきちんと言い渡されたのは木曜日です。久しぶりの公式戦ということで、楽しんで投げることができたのかなと思います。調子は良くはなかったですけど、悪くもなかった感じですね。5回の予定だったんですけど、監督から『もう1回いけるか』と言われ、『いかせてください』と志願しました」
末吉は淡々とピッチングを分析した。
「怪我する前の課題でもあった緩いカーブでカウントを取ることができたっていうのは、この先のピッチングにつながると思います。6回にランナーが溜まったのは気持ちが前のめりになってしまったからで、肘痛や疲労といったことではないです。課題としては、後半の真っ直ぐの精度と、今日はカットボールが抜けてしまう場面が多かったので、明日にでも修正して決勝に備えていきます」
DHで出場しているときとは明らかに違う、ピッチャーの顔をしていた。この夏、本当の末吉の顔をやっと見られた気がした。
比嘉にも山ほど訊きたいことがあった。だが、すでに準決勝第2試合のスタンド観戦に入っていたため捕まえることができなかった。

