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甲子園の風BACK NUMBER
高校野球は“甲子園だけ”がすべてか? 強豪校の真逆「勝てない弱小校」追う…「勝ったらすき焼き!」神奈川大会“まさかの初勝利”監督が言ったこと
text by

樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byYuki Kashimoto
posted2026/07/18 11:00
夏の大会に参加して11度目…初めての夏勝利を挙げた中大横浜の選手たち
か、勝った…言葉詰まらせる監督
試合結果は9-1、まさかの8回コールド勝ちだった。エース山崎耕太郎(3年)が力投した。身長179cm、体重86kg。DH、4番、エースと、まさに大車輪の活躍。昨年は捕手不在の穴を自分が埋めてやりくりしたが、今年は堂々のマウンドさばきだ。
「途中、足がつりそうになったけど、力尽きるまでいくぞと決めて気持ちで投げました」。男気あるコメントの一方で「マウンドが最初合わなかったので調整した。球速は出なくても、速さのコントロールではなく、身体のコントロールで打者を抑えました」と科学的な分析も。国公立大に進んで野球の指導者になる夢を持っている。多くを語らなくても行動で仲間を引っ張る信頼感がある。
中大横浜の髙良祐太郎監督は「(初勝利まで)10年かかりました……。涙は堪えました」と言葉をつまらせた。「今までは、苦しい局面で我慢できなかった生徒たちでした。6回に追加点を入れて、自分たちで断ち切れた。公式戦でノーエラーって今まであったかな? 珍しいこと。彼らの成長です」とかみしめた。
「勝ったらすき焼き!」
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7回のゴロゴーでホームに生還し5点目を挙げるなど、3安打2打点の大活躍を果たした山邉蒼生(2年)の存在も大きい。中学時代に全国準優勝の実績がありながら、夏の大会でまだ勝っていない中大横浜を選び、歴史を変えようとしている挑戦者だ。「勝ってないチームってどんな野球をするんだろう?」というシンプルな好奇心で飛び込み、2年目で初めて校歌を歌った。どんな心境かと思って話を聞くと「今日勝たないと、明後日の試験を受けなきゃいけないから絶対勝ちたかった。数学、苦手なんですよ~」とあっけらかん。試合内容と全然関係ないコメントでずっこけてしまった。兄の陽夏さんと「勝ったら今半!」と約束していたそうで、もうすでに気持ちはすき焼きの方向に向かっているようだった。
人は、勝つから応援するのだろうか。それとも、応援したくなる人がいるから勝利に価値が生まれるのだろうか。大学応援団と保護者だけで形成された三塁側スタンドで見届けた初勝利は、そんなことを考えさせてくれた。
次に、宮城県加美農業を挙げたい。佐伯友也監督が就任して9年経つが、夏まだ一度も勝っていない。それなのに部員が増え続けている。
〈つづく〉


