サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「痛恨のミスをした田中碧だけではなく…」現地記者が疑問視した“別の2つの判断ミス”…2失点目の決定的瞬間「“菅原由勢が絞るべきだった”は本当か」
text by

木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2026/07/12 11:04
ブラジルに敗戦した直後、悔し涙を見せた田中碧
「理想論としてはそうですが、冨安選手と菅原選手の連帯責任だと思います。あの場面でセンターバックが急にマークを離して中央方向へ動くことを予測するのは簡単ではないからです。冨安選手がシュートだと思い込んで動きすぎでした。
実際、冨安選手はブラジル戦翌日に次のように振り返りました。
『いいときであれば、どうせパスするでしょと思い、こう(シュートコースへ)行きながらもこっち(パスの受け手側)に体重を乗せている。より厳しいところに身を置いていなかった2年間のツケが来たという感じです』
ADVERTISEMENT
もし冨安選手がシュートとパスの両方に対応できるような重心を保っていたら、マルティネッリへのスライディングが間に合っていたかもしれません」
「ブラジルはシュート練習から“狙っていた”」
――あえて言うと、町野修斗選手がもう少し後ろに戻ってきてくれていたら、菅原選手がビニシウスをあそこまで警戒せずにすんだかもしれませんね。町野選手は田中碧選手がボールを奪ったあとに前へ歩き始めており、戻る動きが遅れました。
「危険な状況への『アラート』が足りなかったので、判断のミスにカウントされると思います。
個人的にここで注目したいのはマルティネッリの動きです。パスが出る直前、冨安選手に対してバックステップを踏んで離れたんですよ。冨安選手もシュートを防ごうとして離れたので、マルティネッリの体の前に大きな空間ができました。
実はこのシューターが相手DFから離れる動きは、ブラジルが試合前のウォーミングアップで繰り返しやっていたものとほぼ同じだったんです」
――どういうことですか?
「ブラジルは日本戦のウォーミングアップで、コーチがDF役になり、3パターンのシュート練習をしていました。ペナルティエリアの少し外にシュート役とDFが立ち、少し離れてパス役がいるというものです。
1つ目はシュート役がDFを手で突き飛ばしてからバックステップを踏んで距離を取り、パスを受けてシュートを打つというもの。
2つ目はシュート役がDFの視野外(背中側)から動き出してパスを受け、シュートを打つというもの。DFの背後からそのまま裏へ飛び出ることもあれば、DFの鼻先を通ってからUの字を描いて裏へ抜けることもあります。
3つ目はシュート役がワンタッチでボールを落とし、パス役がシュートするというもの。いわゆるワンツーです。
マルティネッリの逆転弾は、まさにこの練習通りの動きでした。手で相手を突き飛ばすアクションはありませんでしたが、バックステップで冨安選手から距離を取っていました。
対して日本の試合前シュート練習はフリーでボールを受けるパターンが多い。個人の能力と監督の采配だけでなく、練習のノウハウにも差があることを痛感しました。こういうことも含めて、シビアに個人のミスや組織としての差を受け止めていく必要があると思います」
3刷重版と話題の新刊『逆転監督 森保一』(著:木崎伸也)。2年半以上の徹底取材と複数回の本人インタビューから、森保監督の“したたかな勝負師”としての顔に迫った一冊


