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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「選手、チームをよく見ろ」“PL伝説指揮官”の金言を胸に…ソフトバンク大野稼頭央を育てた59歳が挑む、27年間甲子園から遠ざかる公立校の復活
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2026/07/11 11:03
鹿児島商の塗木哲哉監督
「鹿児島商業が夏の甲子園に最後に出場した1995年に鹿児島県大会決勝で当たったのが、当時、僕が監督をしていた鹿児島南高でした。3対5で敗れましたが、それも不思議な縁だなと思っています」
塗木監督は、野球の競技だけでなく、選手が野球の様々な学問分野に取り組む「研究発表」も指導している。
「日本野球学会の川村卓会長(筑波大学大学院教授)とは以前から交流があります。もちろん私も野球学会員で、大島高校の監督時代に1回、生徒の研究の代理発表をしました。このときの研究をおこなったメンバーの一人の体岡大地が、筑波大に進んで学生コーチをしています。体岡は甲子園にも出場して代打で安打を打っています。
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その流れで、鹿児島商業でも生徒に研究発表をするように促したんです。野球部の選手が、野球部の内側だけで活動をするのは『面白みがない』と思っているんです。野球というものを切り口にして、選手たちの人生に何か活かしてほしいなと。
鹿児島商業の部員数は60人を超えています。公立としては相当多い。選手になれる生徒もいるけど、なれない生徒の方が多い。選手を支える側になる生徒たちは野球を切り口に、自分自身の存在価値を創っていくことも大事だと思うんです」
進学・就職…生かしてほしいですね
そういった背景もあって、研究発表を指導していた。その取り組みは幅を広げているという。
「これまで野球学会で発表していたのは、野球部員でもアスリートスポーツ科の生徒だけだったんです。でも、来年からは、ビジネスクリエイト科と、情報イノベーション科という二つの別の科の生徒でも、研究発表したいという声があれば、彼らの発表も出そうかなと思っています。例えばビジネスクリエイト科のカリキュラムには『DX』なども入っています。そういうのも研究発表に活かしていければと思います。好きなことで研究発表できれば、学校生活が楽しくなるじゃないですか」
59歳、鹿児島県では定年の65歳まで監督として活躍できるという。
「鹿児島商業に来て4年目に入りました。今、求めているのは、選手の目が『外を向く』ことです。選手は、自分たちのチーム練習を一生懸命やろうとか、そういうことに関心が向きがちですが、神村学園、鹿児島実業や樟南に勝つためにはどうすればいいか。さらには横浜、健大高崎、山梨学院などと対等に戦うにはどんなことをすればいいかに目を向けて行って、それを実践していく。それによってやはり全国が近づいてくると思うんです。そのためには野球学会などの発表も役に立つと思います。もともと鹿児島商業は就職する生徒が多い学校ですが、進学するにしても就職するにしても、ここで野球をしたことを人生に活かしてほしいと思いますね」
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