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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「選手、チームをよく見ろ」“PL伝説指揮官”の金言を胸に…ソフトバンク大野稼頭央を育てた59歳が挑む、27年間甲子園から遠ざかる公立校の復活
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2026/07/11 11:03
鹿児島商の塗木哲哉監督
塗木監督は出水高野球部のコーチを手始めに、鹿児島南高では95年夏に県大会準優勝、頴娃高では03年、志布志高では11年にセンバツ21世紀枠の鹿児島県推薦を受けた。そして離島の大島高では左腕・大野稼頭央(現ソフトバンク)を擁して22年春の甲子園に導いた。
「鹿児島南高で監督になった時に、PL学園の中村順司監督(当時)の元に行って『野球の監督ってどうすればいいんですか?』と聞きました。中村監督は『何もしなくていいんだよ』と言われました。ちょうど同郷の福留孝介選手がPLにいて、練習を見学させてもらいました。大島高校が選抜に出場した時に、甲子園の試合では毎日放送の解説が中村監督だったんです。ご縁を感じました」
「何もしなくていい」というのは、どういう意味だったのだろうか。
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「多分『選手、チームをよく見ろ』ということだったと思います。『見る』というのは監督の一番大事な仕事だと思います。いろいろ教えるのはコーチの仕事だと思うんですね。
若いときは監督もコーチも両方やらないといけないですが、今のうちには副部長もコーチもいて、細かな部分はお願いして、私はずっと『見ること』に徹しています」
公立校の監督は基本的にスカウトできないので
その中で、指揮官はどんな選手を育成しようと思っているのか。
「プロに行く選手を作りたいと思っていました。そのためにも甲子園に行ける学校にしたい。公立校の監督は、基本的に選手をスカウトできません。選手を選べないんですね。いわばノンエリートの子が中心です。そういう選手が集まって甲子園に行くために大事なのは『気持ちを育てる』ことです。『自分たちは無理だ』という意識を払しょくする。甲子園に行きたいという気持ちをまず育てるのが大事です。
あとは環境整備ですね。この鹿児島商業の専用グラウンドは、以前からあったのですが、自分が赴任してすぐに、専用のトラクターを寄贈してもらい、日々のグラウンド整備をおこなうようにしました。毎日トラクターで土を固めていると、今朝は雨が降りましたが、午後になれば使えるようになります。そういう練習環境を整えることが大事です。
そして体のバランスを整えること。怪我をしにくい体を作っていくことを考えています。さらに練習に取り組む姿勢を作ること。やらされる練習ではなくて、自分たちで取り組む姿勢を作ることですね」
研究発表も指導しているワケ
鹿児島商業は伝統校だが、2007年夏を最後に甲子園に出ていない。

