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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「負けたけどベストバウト」中谷潤人、井上尚弥との“世紀の一戦”を語る…再戦の可能性について即答!「“倒してやる”という気持ちはある」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2026/07/05 17:01
井上尚弥にプロ33戦目にして初の黒星を喫した中谷潤人。“世紀の一戦”から1カ月半後、その心境をNumberWebのインタビューで明かした(後編)
「流れが来ている、戦いやすくなっているとは思いました。井上選手の表情であったり、フェイントに対する反応であったり、ちょっと疲れてきているんじゃないかというふうにも僕のなかでは感じました」
井上のパンチが空を切り、逆に左、右と中谷のロングショットが当たる場面が増えてくる。ペースは間違いなく握りつつあった。ラウンド終盤に偶然のバッティングによって左目上をカットしたが、その影響はまったくなかったと言い切る。
「以前、(アンドリュー・モロニー戦で)切ったことのある箇所でもありましたし、免疫はありました。(血が)目に入ってそこまで見えづらくなることもなく、インターバルでルディが止血してくれたので大丈夫でした」
11R、接近戦から右アッパーを被弾
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残り2ラウンド。中谷は差し切って勝つイメージを膨らませていた。心身の疲弊はなく、むしろ体も頭のなかもよく動いていて、スタミナは問題なかった。神経が磨り減る戦いを想定して、脳のスタミナを強化してきた成果も感じていた。
だが、良いときにこそ、落とし穴が待っている。
ポイント計算をしていたわけではないが、「しっかり勝つならもっと盛り返さないといけない」という意識はあった。
迎えた11ラウンド、ハーフタイム過ぎだった。接近戦の攻防から王者の右アッパーをまともに食らった。
「(パンチの)タイミングは優れていましたし、反応できずにもろにもらう形になってしまいました。くっついたときにガードがサイドにいってしまうとか、練習の段階でも指摘されていた課題ではありました。あのパンチで自分が想定した残り2ラウンドの流れというものを変えざるを得ませんでした」
目の前が二重に見えるようになり、接近戦を一度取りやめて足を使って距離を置く。このケースも想定内に置いていただけに焦りはなかったが、ここに来て仕切り直さなければならないのは痛かった。最終ラウンドは勝負を懸けるべく前に向かったが、王者は最後まで中谷への警戒を解かなかった。
12ラウンドはあっという間に過ぎていった。試合終了のゴングが鳴ると、両者は抱き合って、グローブで優しく体を叩いた。
「ああいう試合ができたというのは本当にプロボクサー冥利に尽きます。結果は負けでしたけど、自分のベストバウトであることは間違いありません。たくさんの人を満足させられたのは良かったですし、自分のこれからの成長につなげられる試合だったかなと思います」
「やっぱり速さが…想定していない動きも」
井上尚弥のどこが凄いと感じたか。
そう問うと、中谷は少し間を置いてから語り始めた。


