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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「凄く楽しかった」中谷潤人がいま明かす井上尚弥との決戦舞台裏…プロ33戦目で初の敗北をどう受け止めた?「案外すがすがしい気持ちなんです」
posted2026/07/05 17:00
井上尚弥にプロ33戦目にして初の黒星を喫した中谷潤人。“世紀の一戦”から1カ月半後、その心境をNumberWebのインタビューで明かした(前編)
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
プロ33戦目にして初黒星「凄く楽しかった」
敗北の味は、苦いに決まっている。
勝ったほうが強く、負けたほうが弱いと選別される世界では、いやが応でも結果を受け入れなければならない。
中谷潤人も、きっとその味をかみ締めているに違いない。そう思うとこのNumberWebで恒例としてきた試合後インタビューもどこか気が重かった。
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というのもかつてアマチュア時代、16歳のときにアメリカで敗れた話を聞いた際、力を出し切れずに「もうこんな思いはしたくない」と語ったことが脳裏に反芻されていたからだ。
5.2東京ドームでの世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチから1カ月半。チャンピオン井上尚弥の右アッパーを受けて骨折した左眼窩底の手術を終え、退院して静養に努めている。
プロ33戦目にして初めての黒星をどう受け止めているか――。中谷は柔らかい表情でこう応じた。
「案外すがすがしい気持ちなんです。(試合が)終わった時点で、やれることはやったなという感覚でしたし、勝利する目標には達せなかったけど、それ以上に得られるものが多かった試合でしたから。お客さんが試合を楽しんでくれているのが伝わってきて、心躍る戦いができたのは井上選手あってのこと。自分のチームや周りの人たち、そして井上選手にも感謝の気持ちがありました。アマチュア時代の負けとは全然違うものです」
そして「凄く楽しかったです」と一言、つけ加えた。サングラスの奥にある目が笑っていた。
結果は4、4、2ポイント差の判定負け。クリーンヒットが少なくとも、サムライの斬り合いのように一発当たれば終わりというヒリヒリの最上級にあった一戦の映像を、中谷は病室で「じっくり」見直したという。あらためて激戦を振り返ってもらった。
試合前、レフェリーを挟んで対峙した井上を睨みつけるように目をギラつかせた。静かに高揚しているのが伝わった。
「気合いは入っていましたね。(ロスでの)キャンプは、凄く集中してできましたし、オーバーワークもなく、疲労を溜めることもなく、悔いのないトレーニングができましたから。凄く自信にもなったし、テンション的なところで言えば、高かったなとは思います」
「僕の左を凄く警戒しているなと」
テンションは高くあっても、どこまでもクールに。ゴングが鳴ると、ルディ・エルナンデストレーナーと練ってきた作戦を遂行する。自らのアクションを少なくして、逆にチャンピオンのアクションを引き出して情報を把握すると決めていた。受け身のリアクションではなく、のちに自らアクションを起こしていくために。

