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「我がチェルシーを返してくれ!」スタンフォード・ブリッジに響くファンの叫び。「アンハッピー・クラブ」と化した名門の苦悩

posted2026/04/18 20:00

 
「我がチェルシーを返してくれ!」スタンフォード・ブリッジに響くファンの叫び。「アンハッピー・クラブ」と化した名門の苦悩<Number Web>

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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「出ていってくれ!」「我がチェルシーを返してくれ!」と叫びながら、スタンフォード・ブリッジ付近を練り歩くチェルシーのサポーターたち。4月18日、ホームでのマンチェスター・ユナイテッド戦前の光景だ。

 その4日前、チェルシーはリアム・ロシーニア監督の解任に踏み切った。クラブによる公式声明には、「長期的な視野で適切な後任人事を行うべく内省に努める」との一文。「長期展望」は、2022年5月末からクラブを所有する、『BlueCo』政権下におけるスローガンも同然だ。だが今では、単なる飾り文句に過ぎないと理解され始めている。

 ロシーニアは、1月に6年契約で就任していた。長期契約ではある。プレミアリーグ監督歴のない41歳であったことを考えれば、尚更のことだ。しかし、『BlueCo』傘下の他クラブで指揮を執っていなければ、チェルシーでは候補と目されることすらなかったはずの前ストラスブール(フランス1部)監督は、わずか3カ月半で首を切られることになった。共同オーナーの1人が、続投支持を公言した翌週の解任劇でもあった。

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 この4年間で、すでに5度目となる監督解任。『BlueCo』のアメリカ人経営者は、ロシア人前オーナー時代とは異なるクラブ運営を公約していた。ファンにとっては、歓迎できる方針でもあった。チェルシーは、21世紀初頭のプレミアで最も成功を収めたクラブと言われるようになってからも、短期的視野で監督や選手の出入りが激しく、生え抜き選手が育つ余裕もない状況が続き、プレミアで最も「ハッピー」なクラブとはなり得なかったためだ。ウクライナ戦争に起因する突然のオーナー交代が、異質の成功を目指す転機になるかとも思われた。

 しかしながら、「アンハッピー・クラブ」へと向かっているのがチェルシーの現状だ。ホームゲームでのファンによるブーイングは、『BlueCo』指名による監督第1号のグレアム・ポッター(現スウェーデン代表監督)時代から、異例の出来事ではなくなっている。

 選手の顔ぶれを見ても、総額3200億円近くを移籍市場に投じていながら、補強成功例が限られる。若手主体のチームと、若手しかいないとチームとは別物だ。先頃発表された昨季の経営成績は、プレミア史上最高額となる2億6200万ポンド(約558億円)の税引き前損失。今季は、CL出場圏外というピッチ上での成績が濃厚であり、主力中の主力であるコール・パーマーが、脱出を願っても不思議ではない。

 これでは、ハッピーなクラブへと生まれ変わるには痛みが伴うと覚悟してはいても、ファンがオーナーへの抗議に行動を起こしても無理はない。試合前のデモ行進は、第33節ユナイテッ戦が今季2度目。試合開始の1時間ほど前に、前回と同じ約300人が、口先だけの長期展望を掲げる『BlueCo』の更迭を求めて声を上げた。

 チェルシーは、肝心の試合にも敗れた(0—1)。スコア上は惜敗であり、シュート3本がゴール枠に阻まれる不運にも見舞われている。しかしながら、リーグ戦での零封負けは、4試合連続。前半、ボール支配ではユナイテッドを上回ったものの、相手1本目の枠内シュートで先制点を奪われた。プレーヤー・オブ・ザ・マッチに相応しい活躍を見せた、ブルーノ・フェルナンデスの折り返しに、マテウス・クーニャがノーマークで合わせている。ビハインドでのハーフタイム突入に、ホーム観衆からブーイングが起こったことは言うまでもない。

 スタジアム内でも、ファンが「俺たちのチェルシーを返してくれ!」と歌ったのは、後半30分過ぎ。続いて、共同オーナーを罵声する合唱も聞かれた。同36分、追う展開でありながら、ロシーニアが行ったDF同士の2枚替えは、フロント主導の補強失敗を改めて物語るようでもあった。試合終了後、ゴール裏に陣取ったユナイテッドのファンが、CL復帰に大きく前進した勝利の立役者を「ブルーノ!」コールで称える反対側では、自軍ファンを拍手で労おうとゴール裏スタンドに向かったチェルシー指揮官が、その「12人目」たちからブーイングを浴びていた。

 チェルシー経営陣は、冒頭で触れた声明文を花言巧語に終わらせてはならない。さもなければ、「アンハッピー・クラブ」化の歯止めは、ますます困難を極める。

 チーム立て直しの指揮を執る人物には、ともに今季末での現任地を去る、アンドニ・イラオラ(ボーンマス監督)とオリバー・グラスナー(クリスタルパレス監督)らの名前が、噂の候補に挙がっている。個人的には、パレスで持ち駒の特性を活かす戦術的柔軟性も証明した後者が、やはり今季末で契約が切れる鎌田大地を連れてきてくれれば言うことはない。チェルシーは、CFとGKの他、中盤にも経験値の高い実力者が必要だ。

 だがフロントが、現場のニーズを度外視して極端な若手獲得路線を押し通すようであれば、パレスでの今季限りに補強への不満があるグラスナーにそっぽを向かれてしまう。より若い監督連中にも避けられかねない。噂の候補の1人であり、暫定監督として『BlueCo』政権下のチーム事情を知るランパードなどは特に、トップレベルで築くべき時期にある監督キャリアを、チェルシーで破壊される危険を理解しているに違いない。

 コンセプト自体は魅力的であり、長期に渡る成功持続を可能にする若手中心の“ブルーズ”像。実現への仕切り直しに当たり、『BlueCo』首脳陣には、後任監督探し以前に、チェルシーオーナーとしての「自己探求」を求めたい。

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