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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
森保一監督はなぜ(ときに)厳しく叱るのか…「時間を守る」「内部の問題は内部で解決する」「SNSに注意する」日本代表に課す“3つだけのルール”
text by

木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byKiichi Matsumoto
posted2026/05/30 11:02
森保一監督(57歳)。北中米W杯に向けた練習で
おそらく自身の現役時代、恩師・今西和男に叱られた経験が関係している。マツダとサンフレッチェ広島で総監督やGMを歴任した今西。長崎日大高校を卒業し、無名だった森保をマツダに採用した人物である。
第3章で取り上げたように、森保は今西を2度激怒させたことがある。
1度目はマツダ入団2年目のこと、森保がまだ19、20歳の頃だ。当時Bチームだった森保はAチームの試合を見ないで帰宅してしまった。にもかかわらず翌日、森保は今西に「なぜ、僕はまだ(Aチームで)使ってもらえないのですか?」と質問した。その瞬間、今西はこう叱責した。
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「お前、昨日のトップの試合も観もせんで、何を言うとるんじゃ! そうせんにゃー、どういうプレーをすればチームに貢献できるか、分からんじゃろうが!」
2度目は同じくマツダ時代。Aチーム入りして韓国へ遠征したものの、森保は出番を得られなかった。試合後、森保はチーム用具をバスに積むと、チームメイトよりも先にバスの席に着いてしまう。今西は車内で待つ森保を見つけると、間髪容れず怒鳴りつけた。
「試合で疲れとる選手がおるのに、何で先に座っとるんや! お前が席に着くんは、全員が乗り込むんを見届けてからじゃろうが」
「厳しさも絶対に必要だと思います」
森保は2025年1月のインタビューでこう振り返った。
「いたらないところを今西さんからしっかり指摘してもらえたのは、ものすごく大きな財産になりました。欠点はなかなか他者に言ってもらえない。自分でも気がつけない。それはダメなんだということを認識させてもらえるのと、認識させてもらえないのとでは、のちに大きな違いになります。
はたから見たら怒られたということになるのかもしれませんが、僕は『怒る』と『指摘』は少し違うと思うんですよ。怒るというのは、伝える側のストレスをぶつけてしまう部分がある。一方、指摘はその人の成長のために良し悪しを伝える。今西さんはまさに後者でした。
感情を出さないと伝わらないこともありますが、監督として自分のストレスをぶつけることがないように気をつけています」
早朝に選手を見送ることもあれば、練習場で厳しく指摘することもある。森保監督にとってはそれらすべてが「成功してほしい」というエールなのだ。
「人を育てようと思ったら、優しさと厳しさは絶対的に必要だと思います」
一般的に「いい人」とされるのは、優しくて好感度の高い人物だろう。だが、森保哲学における真の「いい人」とは、優しさだけでなく、厳しさと怖さも併せ持つ人物である。
5月28日発売の書籍『逆転監督 森保一』(著:木崎伸也)。2年半以上の徹底取材と複数回の本人インタビューから、森保監督の“したたかな勝負師”としての顔に迫った一冊

