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「全く偉ぶることもなく」ダルビッシュ有が“左投げ”でもスゴいスイーパー、大谷翔平はマウンドの状態を…WBCアナリストが見た「世界の宝」の素顔
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/05/22 17:05
侍ジャパン活動期間中、サポート役が見たダルビッシュ有の気遣いとは
「気が付いたことはどんどん言ってくれるし、ちゃんと選手のために行動する。宮崎ではブルペンにピッチクロックが置いてあって常に動かしているんですが、たまたまピッチクロックの前にコーチが立って投手から見えないタイミングが少しだけあったんです。そうしたらダルビッシュ選手が横の方のピッチクロックが見える場所に移動して『ちょっと見えづらいよね、俺が秒数伝えるから』と投手に自ら数えて伝えました」
――本当に「選手たちの役に立ちたい」と思って宮崎に来ていたんですね。
「そうだと思います。キャンプ入りして4~5日目くらいに、ダルビッシュ選手がボソッと『星川さん、疲れませんか?』と言ったんです。
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『確かにこのくらいの時期ってめっちゃ疲れますね』と言ったら『前回、選手で来ているときは全然疲れなかった』と返ってきたんです。『今回はずっと立っているからかなあ』と言うので僕は『いろんな事に気を遣っているからじゃないですか』と言いました。ダルビッシュほどの選手が疲れるほど気を使うのかと」
全く偉ぶることもなくて
――大選手なんだから、選手に聴かれたときにアドバイスすればいいだけで、そんなことを気にしなくていいはずですが。
「アドバイスしてくれるだけで、選手にとってはありがたいわけです。ダルビッシュ選手からアドバイスをもらえることなんて本当に滅多にない機会なんで、みんな教えてもらいたい。投手にとっては人生の宝になりますから。でも、ダルビッシュ選手は全く偉ぶることもなくて、細かいところまで気を配っている。だから疲れたのでしょう。
現役選手なのに、サポートする立ち位置に片足どころか両足を突っ込んでいたんだと思います。僕はそれを間近で見て、ホテルに帰ってから『これって本当にすごいことじゃないかな』としみじみ思いました。言葉を変えるなら、ダルビッシュ選手は自身のコンフォートゾーン(居心地の良い領域)から出て、投手たちと接していたんではないか、と。普段使わない神経を使っているから、疲れたんでしょう。ダルビッシュ選手はコーチではなく、現役選手です。でも、そういうことができるんですね、チームのために自分のできることは何だろうと本気で考えてできる限りそれを実行する。自分が逆の立場だったら同じ行動が果たして取れるのか、と」
じつは…左投げですごいスイーパーを
――前回も山本由伸投手や佐々木朗希投手が、アドバイスを受けていましたが、今回はどうでしたか。

