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「すぐ潰された」20歳FW貴田遼河がアルゼンチンで浴びた洗礼…ロス五輪世代FWなぜ南米に移籍? 殺伐としたスタジアムで「まったく通用しない」と痛感した日
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茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAaajoficial
posted2026/03/20 11:01
アルゼンチン1部移籍後、初ゴールをマークした貴田遼河。待望の1点は身体を投げ出して決めた泥臭いゴールだった
――そんな経験を経て貴田選手はトップデビューを飾ったわけですが、初戦のサルミエント戦は「やりやすい状況だった」とおっしゃっていた通り、積極的にゴール前に入り込む場面などが見受けられました。その後はどうだったのでしょうか。
「むしろ記憶に残っているのは3試合目、アウェーのラシン戦なんです。基本的に僕は緊張しないタイプなんです。でもこの試合前は、今までのサッカー人生で初めて緊張しましたし、『全く通用しないな』って思ったのも初めてだったので」
――具体的に何を感じましたか。
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「15分ぐらい出たんですけど、『ディス・イズ・アルゼンチン』のサッカーを痛感したなって感じていて。何もできなかったと同時に、求めていたサッカーが自分にぶつかってきた。アウェーの雰囲気も含めて、やっぱりアルゼンチンはすごいな、と感じました」
――アルゼンチンのスタジアムは熱狂的、殺伐とした印象があります。実際プレーしてみて感じたことはありますか。
「なんかもう、密集してる感がすごいんですよ(笑)。たとえばゴール裏だと、日本と違って席がないんです。だから多くの人たちがウジャウジャと固まって、こっちを攻撃してくるような感覚を受けるんです。特にアウェー戦だったので、怖さを感じましたね」
「ようこそ、アルゼンチンへ」
――サッカー面における「ディス・イズ・アルゼンチン」というのは、相手マーカーの激しさが違うといったこと?
「そうですね。ラシンは本当に、フィジカルが強かったんです。ボールを受けた時にパスを出すか、ドリブルで進むかちょっと迷っちゃったシーンがあったんですけど、その瞬間に相手が2、3人囲んできて、すぐに潰されちゃうみたいなシーンがあって。あと、試合後も印象に強く残っていることがあります」
――どんな出来事でしょうか。
「味方の選手から『ようこそ、アルゼンチンのサッカーへ!』と言われたんです」
――うまくいかなかったことを経験したことで、仲間に迎え入れられたと。
「はい。『これから、もっと速くて激しいプレッシャーがくるから』とも言われて、この試合が“普通のレベル”なんだなと思いました。あと、映像で見えないところの駆け引きも凄いですね」
――たとえば?
「ボールを持っていない時に足を踏んできたり、お腹をつねってきたり。あとは相手から体をぶつけてきたのに、あっちが倒れたり。“レフリーが見てないときは、何をしてもイイと思っている人たちなのかな”と思うようにしています」
――色々とやられているけど、冷静なんですね(笑)。
「僕はあまりそうならないタイプですけど、相手はこちらをイライラさせるのが目的で仕掛けてきていると思うので。だからそこはフラストレーションを溜めないようにしますし、もう当たり前だと感じています。これって日本では、絶対に味わえない経験ですよね」


