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結婚式で「お父さん」と…OB・保護者も号泣「たまたま親子だっただけです」甲子園センバツ優勝候補の“父・監督、長男・部長”が語る信頼関係
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間淳Jun Aida
photograph byJun Aida
posted2026/03/17 17:51
親子関係である山梨学院の吉田健人部長(右)と吉田洸二監督。グラウンド内外での親子関係とは
「そうだ、私はお父さんなんだと気付かされました。うれしさや照れくささ、忘れていた感覚もよみがえりました。手紙には結婚するにあたって、幼少期からの感謝が綴られていました。山梨学院で一緒に野球ができてうれしいと書かれていました」
お父さんと呼びかけた一言で、親子と改めて認識したのは吉田監督だけではなかった。
結婚式に参加していた野球部OBや保護者の中には、泣いている人もいた。吉田監督が語る。
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「周りの人たちも、私は部長、息子は監督と呼ぶところしか見たことがありません。普段は親子らしさがゼロなので、お父さんという言葉を聞いて、やっぱり親子だったんだと感動したみたいです。これが、私たち親子の関係性を示す答えなんだと思います」
そこも上手くいっている理由だと
周囲も普段は、吉田監督と健人部長を親子と見ていない。その事実を忘れるほど、監督と部長の関係が自然になっている。2人の会話は、いつでも野球だという。
「外食する時の車内でも、あの選手をどうやって育成しようかと話しています。ただ、部長は新婚なので、奥さんも一緒にいる時は、できるだけ野球の話題は出さないように気を付けています。『〈I'm donut〉? おいしいよね』と話しかけていますよ(笑)」
事情を理解していない人たちは、親子が同じチームで指導者をするデメリットを想像するかもしれない。だが、吉田監督は「利点が多い」と言い切る。全てを言葉にしなくても自然と通じ合える親子特有のあうんの呼吸。さらに、相手を素直に認められる良さもある。
「例えば、監督はコーチの打撃指導が自分より優れていると分かっていても、コーチのおかげで打てたとはあまり口にしたくない人は多いと思います。コーチが評価されると、おもしろく感じない監督もいます。でも、私は部長が周りに褒められるほどうれしいです。それは、息子が評価される喜びが無意識にあるから。親子だからお互いを認められる面があり、そこも上手くいっている理由だと思っています」

