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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「カードを切るのは自分だ」27歳宮部藍梨の“挑戦哲学”「周りの目を気にする時もあったけど…」価値観をつくった両親の教えとは?〈女子バレー界の開拓者〉
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2026/01/23 17:05
新しい挑戦に着手した宮部藍梨(ヴィクトリーナ姫路)
オポジットに挑戦するというカードを切った今季、意識の変化や難しさも感じながら奮闘している。
「常にプレーし続けなければいけないし、バックでも点数を取ることを求められるので、気持ちの部分で、誰かがやってくれるだろうじゃなく、『自分がやる!』という心の持ちようがすごく大切なのかなと感じています。
課題で言うと、ブロックは、手が多くネットの上に出るのはいいんですけど、相手に利用されるケースもしばしばあるので、手の出し方というところの精度はもっと高めていけたらなと思いますし、ミドルの時にはなかった二段トスを打ち切るという部分は、もう少ししっかり練習していきたいと思っています」
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姫路のアヴィタル・セリンジャー監督は、「彼女は運動能力が高く、素晴らしいアスリートですが、ミドルとオポジットはまったく違うポジション。ブロックもスパイクも違う、守備面もまったく違います。ずっとコートに出ずっぱりですから、集中力やスタミナも必要。まだ始めたばかりなので、とにかく経験を積んで、オポジットとして自分を高めてほしい。学んでいる最中です」。まだまだこんなもんじゃないよと言いたげだった。
日本代表でもオポジットを希望?
気になるのはリーグ後の日本代表で、どのポジションで起用されるのかということ。セリンジャー監督は、「本人も私も、代表でもオポジットとしてプレーすることを望んでいる」と語っていたが、決めるのは日本代表のフェルハト・アクバシュ監督だ。たとえミドルブロッカーで起用されても、今季のチャレンジが無駄になることはない。宮部の中ではイメージがすでに膨らんでいる。
「例えば、今だったら(ミドルブロッカーでもサーブを打ったあとに)バックアタック打てるじゃん、と思うし、新しいコンビの組み方もできると思う。新しいことをする時に、0から1にするよりは、先に1になっていたほうが、周りの力も含めて2にもできるし、3にもできる。そういう部分が個人的に面白いのかなと思うし、見てみたいとも思います。
できることの引き出しを、個人だけじゃなくチーム単位で増やしていくことも、日本が体格差のある海外と戦う中で、これからもっと大切になると思うので。それに、誰もやっていないことをやって、自分たちが率先して面白がって、楽しんでバレーをすることが一番、見ている人にも『バレーって面白いんだ』と伝わると思うんです」
それを実感したのが、ベスト4入りを果たした昨年の世界選手権だった。
「日本に戻ってきてから街中とかで声をかけられることが増えました。『惜しかったね』とか『よかったよー』という言葉ももちろん嬉しいんですけど、『勝敗よりも、見ていて本当に面白かったよ』と言ってもらえることがすごく多かったんです。
やっぱり自分たちが一番楽しんで、面白いと思えるプレーをやらないと、周りにはいい形では伝わらない。ポジティブな気持ちで、みんなで目を合わせて、緊張感のあるヒリヒリした感覚をも楽しむぞという気持ちで挑まないと、雰囲気に飲まれてしまうし、自分たちがまず楽しむことで、お客さんを魅了して味方につけることもチームの強みになると思う。これからも、面白いんじゃないかと思うことにチャレンジしたいなとすごく思います。今はこのリーグをしっかり頑張り切ることが一番近い目標ですけどね」
宮部の挑戦が、宮部自身と、姫路や日本代表にどんな変化をもたらすのか、期待したい。〈全2回/前編から続く〉


