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叫べ「宇宙〜!」DeNAのロマン砲・井上絢登3年目の爆発なるか…一軍定着・レギュラーめざし「長打を狙いすぎず、欲を捨てていきます」
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石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2026/01/12 11:02
2年目の昨季、プロ初本塁打の翌日にも2号を放ち、決め台詞の「宇宙!」を叫んだ井上。しかしその後は当たりが止まってしまった。3年目の一軍定着へ、決意を語った
「自覚というか、もう言われ過ぎて自覚している感じです。素直に過ごしているだけなんですけどねえ。皆が喜んでくれるからいいですよ。お母さんがめっちゃ天然なんで、お母さんのせいにしていますけどね」
そう言うとまた井上は笑った。
翌日もお立ち台で「宇宙」おかわり
初本塁打を放った翌日の同カードでも井上の勢いは止まらなかった。3点を追う初回に同点タイムリーを放つと、4回裏には勝ち越しとなる2号ソロ本塁打をライトスタンドにぶち込み、4年目の小園健太のプロ初勝利に貢献した。
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そして井上は前日「また上がりたい」と思っていたヒーローインタビューのお立ち台で再びスポットライトを浴びた。スタンドでは故郷の福岡から駆けつけた父と弟が見守っており、そこでも井上は“宇宙”を叫んだ。
とくに勝ち越しとなった本塁打はカウント2‐2から、カイル・マラーが投じたスライダーに完全に崩されながらも右翼へ運ぶ技有りの一発だった。定評のある井上のリストの強さが発揮されたスイングには魅力があふれていた。
「自分としては崩されたとしてもいい打球が飛ぶ感覚がありますし、体の柔軟性もあるので、そこは強みかなと思っています」
順調なスタートを切ったように思われたが、その後、相手チームの研究も進み、井上のバットから快音は響かなくなり、7月末に再び登録抹消されてしまう。結局これ以降一軍に呼ばれることはなく、昨季は12試合、29打数5安打、2本塁打、打率.172という成績で終えている。
打てなくなった理由はやはり……
華々しい滑り出し後、調子を落としてしまった要因は、やはり“欲”だった。
「自分のなかでやっぱり一本出したいという気持ちが強すぎて、空回りしてしまった感じです。今思えば、早めに修正をしておけばと感じました。もちろん考えながらプレーしていたんですけど、考え過ぎて小手先になってしまいヒットを欲しがると、僕の場合、逆に悪い結果になってしまうことがわかりました。これを今後、どのように活かしていくかですね」
シビアなプレー環境で井上が強く思ったのは、「相手ピッチャーは常に自分の感覚を崩しにくる」ということだった。極端なことを言えば、我欲も重なり1試合どころかたった1打席でバッティングの感覚がずれ、歯車に狂いが生じてしまうことを痛感した。

