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「ロウキ、ハッピーバースデー!」ロハスに祝われた佐々木朗希24歳リリーフで大変身のナゼ…速球の質と「じつは投げていた」スプリット以外の球種
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間淳Jun Aida
photograph byArlyn McAdorey/Getty Images
posted2025/11/09 17:00
ドジャース1年目で世界一メンバーとなった佐々木朗希。リリーフ登板時の“急変”に何があったか
先発では速球で空振りを取った割合が右打者は11%、左打者が6%にとどまった。速球で空振りを取れなければ、自然と三振の数も減る。打者の打ち取り方のデータを見ると、三振が占める割合がメジャー平均は27%だったのに対し、先発時の佐々木は20%ほど。森本氏は「先発では奪三振の少なさと四死球の多さが課題になっていました。スプリットではメジャーの平均以上に空振りを奪えていましたが、真っ直ぐでストライクを取れずに投球が苦しくなってしまいました」と指摘する。
一方、救援ではデータが劇的に変わっている。
速球の空振りは右打者16%、左打者21%まで伸びている。打ち取り方も、三振が占める割合は約30%に上がっている。森本氏が分析する。
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「救援になってから、球速が上がってコントロールも良くなったので空振りが増えました。真っ直ぐのストライク率が上がって投手有利のカウントにできていることもあって、打者の打球速度は下がっています。先発の時よりもリリースする際の右腕の角度が1度上がっているため、上から叩けるようになって真っ直ぐの質が向上したとも考えられます」
先発でも平均160キロの能力があるだけに
速球の改善はスプリットにも好影響が出ている。スプリットで奪った空振りは先発の時が33%だったのに対し、救援では54%に上昇。速球を相手に強く意識させたり、カウントを整えたりすることで、武器とするスプリットが生きた。
登板するイニング数が異なる先発と救援では、速球に球速差が出るのは当然と言える。先発で平均154キロを計測する佐々木の速球はメジャーでも上位に位置する。だが、佐々木には、さらに高みを目指せる能力があると森本氏はみている。
「先発でも真っ直ぐの平均球速160キロを計測するだけの能力が佐々木投手にはあると感じています。先発投手で平均160キロに達すればメジャーでも上位数パーセントに入る球速なので、大きな特徴となります」
先発時はスライダーを投げていたが
さらに、速球の使い方にも改善の余地があるという。
今シーズンの佐々木は、速球のコースが真ん中から低めに偏っている。スプリットとの組み合わせを考えると、高低を使った投球が効果的となる。森本氏は「佐々木投手の球速があれば、高めの方が空振りは取りやすいです。打者に高めの真っ直ぐをイメージさせることで、スプリットの威力も上がります」と話す。
先発と救援では、配球にも違いがあった。ここにも、佐々木が先発で成功するヒントが詰まっている。

