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ベッツとマンシーの好守は現代の「ドジャース戦法」? NHK解説者が現地でうなった豪打だけじゃない“底力”「エドマンが制止を振り切って…」 

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小早川毅彦

小早川毅彦Takehiko Kobayakawa

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posted2025/10/08 17:45

ベッツとマンシーの好守は現代の「ドジャース戦法」? NHK解説者が現地でうなった豪打だけじゃない“底力”「エドマンが制止を振り切って…」<Number Web> photograph by Getty Images

地区シリーズ第2戦の9回裏、同点のランナーの三塁進塁を阻止したベッツ。小早川氏はこの試合最大のビッグプレーだったと評した

 マンシー選手がチャージをかけ、ベッツ選手は二塁ランナーと並走するように三塁に走りますから、咄嗟の思いつきでできるプレーではありません。年に一度やるかどうかというプレーを、きちんと準備していたということです。

ピッチコムも活用していた

 それがこの場面ですぐに意思疎通できたのには、ピッチコムの恩恵もあったでしょうね。主に投手と捕手が球種とコースを伝えあっているピッチコムですが、実は野手も帽子に入れているんです。それによって野手も球種に合わせてポジショニングを調整しますし、牽制や守備シフトの指示もできます。それで、この場面でも内野手が正確にバントシフトの用意をできたんですね。

 とはいえ、典型的なスラッガータイプで失礼ながらあまり俊敏に見えないマンシー選手と、これまではずっと外野手で、内野手として1年通じてプレーしたのが今年初めてというベッツ選手が、しかもフォースプレーでなくタッチプレーでランナーをアウトにしたのは本当にすごいこと。派手な一発攻勢だけでなく、こうしたプレーの準備をしているのもドジャースの強さだと再認識したシーンでした。

フィリーズ投手陣の緻密な大谷対策

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 さて、大谷選手のことも触れておきましょう。この2試合では一発が出ませんでしたが、フィリーズのバッテリーがここまでは本当によく考えて、うまく攻めていると思います。ほとんどの場面で左投手を当てていますし、それぞれの投手が満遍なく球種を使って、狙い球を絞らせないピッチングをしています。

 たとえば第2戦の先発ヘスス・ルザルド投手はレギュラーシーズンで大谷選手にホームランを打たれたんですが、この地区シリーズでは基本の組み立てのフォーシームとスライダーだけでなく、普段は左打者相手にほとんど投げないチェンジアップも織り交ぜてきていました。強打者揃いのドジャースのなかでも、大谷選手にはとりわけ配球に気をつかっていることがよくわかりましたね。

【次ページ】 現代の「ドジャース戦法」ばりの底力

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