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「金属音のような打球音が5階席まで」大谷翔平衝撃のHRからドジャースがレッズ撃破も…現地のNHK解説者が「挑戦者の気持ちが必要」と見る理由 

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小早川毅彦

小早川毅彦Takehiko Kobayakawa

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posted2025/10/03 17:01

「金属音のような打球音が5階席まで」大谷翔平衝撃のHRからドジャースがレッズ撃破も…現地のNHK解説者が「挑戦者の気持ちが必要」と見る理由<Number Web> photograph by Getty Images

ワイルドカードシリーズ、レッズ戦の第1戦の初回にいきなり100マイルの豪速球をホームランした大谷。衝撃音が球場に響いたという

 そして2戦目はなんといっても山本由伸投手のピッチングです。初回にエラーもからんで2失点がありましたが、どんな実績あるベテラン投手でも、立ち上がりは難しいものです。ましてやポストシーズンの初登板という舞台で、いかに去年経験しているとはいっても、力も入ったと思います。ストレートも抜けてしまう球がやや目立ちました。

初回に失点を喫した「真相」

 ただ、私の見たところ、立ち上がりの難しさもさることながら、山本投手の初回のピッチングはいつもと組み立てが違っていました。カーブ、スプリットという変化球が多めの印象だったんです。実はこれは、前日の先発のブレイク・スネル投手の投球を参考にしていたんじゃないかと思います。前日の試合では、スネル投手に対してレッズ打線は直球を狙って積極的にスイングをかけていて、その結果チェンジアップなどの落ち球の空振りが非常に多くなっていました。

 そこで山本投手とベン・ロートベット捕手はそれを念頭に置いて、カーブとスプリットの落ち球を多投したんじゃないかと。ところがレッズ打線のアプローチが前日と変わっていて、振ってくれてもいいような際どい変化球を見逃されることが多くなっていました。それでカウントが悪くなっていたことも、初回の失点の一因だったように思います。

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 そこで、山本投手は2回以降すぐさま配球をフォーシーム中心の組み立てに変えてきました。その直球の制球も安定してきて、そこからは素晴らしい投球でレッズ打線を圧倒しましたね。ただ、6回表にレッズの1・2番に変化球を連打されます。さすがにポストシーズンに進んでくるチームですので、打順が3巡目ともなるとシングルヒットぐらいは打たれてしまいます。さらに不運な内野安打が続いて、ノーアウト満塁の大ピンチになってしまいました。

大ピンチでのベッツの判断

 ただ、ここからがすごかった。3-2と1点差でリードしての無死満塁という状況で、ドジャースは中間守備を敷いていました。つまりチームとしては同点にされてもOKで、ダブルプレーを狙っていこう、という態勢です。そこでショートのムーキー・ベッツ選手の前に、ハーフバウンドのゴロが飛びました。タイミングとしてはダブルプレーを取れる打球でしたし、ベッツ選手も二塁にチラッと目をやっているんです。ところが、なぜかホームに投げてしまった。フォースアウトのワンアウトだけを取ったんです。なぜそうしたのかはベッツ選手に聞いてみないとわかりませんが、ともかく、アウトはひとつしか取れなかった代わりに、点も与えなかった。

【次ページ】 「7、8、9」の呪い?

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