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「ここはサッカーの種類が違う」ブリストル移籍の平河悠、2部の洗礼とファンの声援受け挑戦続ける

posted2024/11/29 06:00

 
「ここはサッカーの種類が違う」ブリストル移籍の平河悠、2部の洗礼とファンの声援受け挑戦続ける<Number Web> photograph by Getty Images

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 “Yuuuuu!”———— ブリストル・シティのファンは、平河悠がボールに触れる度に声を上げる。11月26日に行われたチャンピオンシップ第17節ワトフォード戦、ロンドン郊外北西部で惜敗(0—1)を目撃することになったアウェイ・サポーターたちは、試合前のウォームアップ中にも新ウインガーの名を呼んでいた。

 英語でも発音に苦労しない「ユウ」という名前。そして、ドリブラー好きな英国人が目を引かれずにはいられない、相手ゴールへの積極姿勢。ハートの掴み具合に関して言えば、町田ゼルビアから期限付き移籍中の日本U-23代表FWは、同じくイングランド2部1年目の田中碧(リーズ)と大橋祐紀(ブラックバーン)という、A代表の両先輩にも負けていない。

 露骨なハンドが見落とされた第13節でのゴールも、ファンの間では物議を醸すのではく、好評を博している。ここは、38年前にディエゴ・マラドーナの「神の手ゴール」に泣かされた国。しかし、それが自軍の得点となれば話は別だ。

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 ワトフォード戦の記者席で隣同士になったのは、ロンドンのオンライン地元紙でレポーターを務めるベテランのヤン。ブリストル・Cを心のクラブとする彼に、「“日本人の手ゴール”、観た?」と振ってみると、「何食わぬ顔で喜ぶゴール直後が、また最高だったな」と言って笑っていた。

 もっとも、本来は移籍後2得点目として記録されるべきではなかったゴールに限らず、「同志」のフィルターがかからない視点からは厳しい見方もされる。

  例えば、3試合ぶりの先発が60分間で終わった、この日のパフォーマンス。試合後のミックスゾーンで立ち話をしたスポーツ専門ラジオ局のレポーター(素顔はウェストハム・ファン)は、「ダメだったね」の一言だった。スタメンとしては通算8試合目にして初体験となった、右ウイングバック起用でのピッチ上でも容赦はなかった。

 チームと同様、立ち上がりは上々だった。両軍を通じて1本目のシュートは、前半3分に左足で打った平河。その前後には、スルーパスに反応したかと思えば、マークを剥がして低弾道のクロスを入れる姿も見られた。スタンドのブリストル・C陣営は、キックオフ直後から「ユーゥゥゥ!」と繰り返すことになった。

 監督のリアム・マニングは、昨年11月まで指揮を執っていたオックスフォード(2部)でも、4バックと3バックを併用した過去を持つ。現任地での採用は、ひと月ほど前から。平河は、当初3—4—2—1システムで2シャドーの一角を任されていたが、守備面での責任感も強いことから、ウイングバックに高い位置で攻守にハードワークを求める指揮官が起用に踏み切ったのだろう。

 だが、次第に攻撃面での存在感が薄れ始めた平河には、守備面での苦戦が目につくようになった。

 対峙した敵の左ウイングバックは、セリエAのウディネーゼからレンタルで籍を置いているフェスティ・エボセレ。ナイジェリア人を両親に持つアイルランド代表DFは、前回にワトフォードのホームで大橋のいるブラックバーン戦を取材した際にも、適所と見受けられるウイングバックとして威力を発揮していた。

 平河は、次のように自らの出来を振り返っている。

「このチームで求められていることをやりながら、自分の特徴を出したいと意識して挑みましたけど、マッチアップした選手もかなり速くて、フィジカル的にも「ザ・イングランド」みたいな感覚があった。ああいう選手を相手にどんどんトライして、自分もステップアップできるようにやっていきたいなと思いました」

 8月末のデビューから約3か月、ブリストル・Cのレギュラーとして戦ってきた「チャンピオンシップ感」を尋ねると、こう答えてくれた。

「J1でプロになって初の海外になったわけですけど、本当にサッカーの種類が違うというか、 実際に来てみないと分からないという実感を強く味わっているところです。今後のキャリアにおいて本当に大事な時期になってくると思うので、自分の課題を克服しながら、今後、代表にも絡んでいけるような活躍をしたい」

「チーム状況的に2連敗という形で点も取れてないので、もしかしたらシステムがまた(4—2—3—1に)戻ったりとか、メンバーが変わったりするかもしれませんけど、そのなかでもチーム内競争で勝てるようにしていきたい。

 2つだけ挙げるとしたら、まず1つは90分間、ハイ・インテンシティでプレーできる、中2日でもやり遂げられるだけの体力とか筋力をつけていくこと。もう1つは、このチームにおいて、エースというわけじゃないですけど、得点に関わる回数をとにかく増やすことが自分には必要。それができるようになっていけば、より自分の成長にもつながりますし、ステップアップになっていくと思うんです」

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