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偏差値70、夏の甲子園26回出場でも悩める名門公立校のホンネ「全国優勝しないと認められない」「県内に強い私立が…トップ層の選手は県外進学」
posted2025/07/18 17:02

静岡県屈指の名門公立校。野球部のリアルな今を指揮官に聞いた
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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Jun Aida
夏の甲子園に向けた各地方大会が盛況を迎えている。甲子園通算出場43回を数える偏差値70の公立名門校の悩める現状について、ダイジェスト版でお届けする。
「数年でも甲子園に行けていなければ、周りからは長い期間行けていないという見方をされます。甲子園出場は当たり前だと思われているので、部訓としている全国優勝をしないと認められません。でも、それで良いと思います。それが、静高ですから」
静岡県立静岡高校――偏差値70を誇る文武両道の名門公立校である。夏の甲子園出場回数は県内最多の26回、全国制覇1回という輝かしい実績を持つ。「静高」の愛称は全国の高校野球界で親しまれている。
しかし現在、最後の甲子園出場は2021年、甲子園での勝利は2003年から遠ざかっている。冒頭の言葉は、OBで2021年4月からチームを指揮する池田新之介監督が発したもの。3大会前の甲子園出場という実績が「静高」では評価されない。名門校の宿命ともいえる。
静岡独自の「学校裁量枠」があったとしても
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高校野球界は今、「私立優位」の時代を迎えている。公立の伝統校が多い静岡県でも、その構図は変化しつつある。
1990年代は公立8校、私立2校だった夏の甲子園代表校の割合が、2000年代は半々となり、2010年以降は公立6校、私立8校と逆転した。
「他の地域と同じように、静岡県も強い私立が増えていると感じています」
池田監督は、私立の存在感の高まりを認める。最大の要因は「選手集め」にあるという。