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打点王・鈴木誠也オールスター落選のナゼ「大谷翔平以外も実力者だらけ」ナDH、「PCAとタッカーは選出」カブス同僚外野陣の割りを食った
posted2025/07/11 06:02

鈴木誠也はオールスター落選となったものの、打点王だけでなく本塁打王争いにも割って入り始めた
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広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Daniel Bartel/Getty Images
日米ともにオールスターゲームの投票結果が発表された。現時点でナショナル・リーグの打点王で、両リーグトップでもあるカブスの鈴木誠也が選に漏れたことが話題になっている。
これには様々な事情がある。
打点王はMLBでそこまで評価されない?
まず、NPBとMLBのオールスター選出の「競争率」の違いがある。
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NPBのオールスター戦は2試合、MLBは1試合。選ばれる選手数はNPBがファン投票、選手間投票、監督推薦、プラスワン投票を合わせて両リーグで62人。選考対象となるレギュラー選手は両リーグ合わせて174人、選出される確率は35.6%である。
これに対してMLBは、選出される選手数はファン投票、選手間投票、MLB機構推薦、プラスワン投票を含めて64人。対象となるのは、ア・ナ両リーグ合わせて360人。確率は17.8%だ。MLBの方がやや「狭き門」だと言える。とはいえ鈴木はNPBのオールスター戦には5回選出されているが、NPBなら「当確」だっただろう。
今、鈴木は打点(RBI)部門では、両リーグ通じて1位の77打点。両リーグ通じて本塁打1位のマリナーズ、カル・ローリーの76打点を1点上回っている。しかし打点は打撃タイトルではあるものの――投打の総合指標であるWAR(Wins Above Replacement)にはRBIは組み込まれていない。つまり打点王の値打ちは低くみられている。
“ア・リーグなら余裕でDH1位”の成績とは
鈴木は今季「DH部門」で選考されたが、ア・ナ両リーグの主要DHの成績は以下のようになっていた。★はファン投票、●は選手間投票でのオールスター選出。WARは、データサイト『Beseball Refrence』によるもの。成績は7月9日時点。
〈ア・リーグ〉
オハーン(オリオールズ)WAR1.7
262打75安11本32点 率.286 OPS.840★
ルーカー(アスレチックス)WAR1.6
362打98安19本50点 率.271 OPS.838●
ディアズ(レイズ)WAR1.4
347打100安14本52点 率.288 OPS.810
ライス(ヤンキース)WAR0.7
255打59安14本31点 率.231 OPS.790
トラウト(エンゼルス)WAR0.5
227打52安14本33点 率.229 OPS.788
〈ナ・リーグ〉
大谷翔平(ドジャース)WAR4.0
356打100安31本57点 率.281 OPS.998★
シュワーバー(フィリーズ)WAR2.9
335打85安28本65点 率.254 OPS.933●
鈴木誠也(カブス)WAR2.1
349打91安25本77点 率.261 OPS.875
イエリッチ(ブルワーズ)WAR1.7
330打85安18本63点 率.258 OPS.788
オスーナ(ブレーブス)WAR1.0
307打73安11本40点 率.238 OPS.746
大谷のかつての盟友、トラウトでもWARが0.5にとどまっているなど――両リーグでDH選手のレベルに違いがあることがわかる。