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「90%は脳ミソの出来で決まる」“F1絶対王者”マックス・フェルスタッペンの天才性とは何か?「他のドライバーとの最も大きな違いは…」

posted2025/06/26 17:00

 
「90%は脳ミソの出来で決まる」“F1絶対王者”マックス・フェルスタッペンの天才性とは何か?「他のドライバーとの最も大きな違いは…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

2021年から4年連続で世界王者に輝くマックス・フェルスタッペン

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph by

Kiichi Matsumoto

 レッドブルのファーストドライバーにして、世界最高のテクニックを有するフェルスタッペン。そのドライビングを支えている要素とは一体何なのか。チームスタッフの証言で、王者の天才性を解き明かす。
 発売中のNumber1122号に掲載の〈[絶対王者たる理由]マックス・フェルスタッペン「超速を生み出す非凡な脳」〉より内容を一部抜粋してお届けします。

フェルスタッペンは他のドライバーと何が違うのか?

「あらゆるスポーツと同様、モータースポーツにおいてもアスリートのパフォーマンスを決めるのは脳だ。90%は脳みその出来で決まる」

 レッドブルのチーム代表として、9年以上マックス・フェルスタッペンとレースを戦ってきたクリスチャン・ホーナーは、フェルスタッペンが4度王者に輝いた理由をそう説明した。

 ホーナーには忘れられない無線でのやりとりがあった。2023年のスペインGPでのことだ。フリー走行で、フェルスタッペンがレースエンジニアと交信していたとき、エンジニアからの無線を聞いていたフェルスタッペンが、こう返答した。

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「だれかの電話が鳴っているよ。もしかして、隣にいるヘルムート(・マルコ/モータースポーツアドバイザー)の電話かな?」

 F1マシンをミスなく、自己ベストに近いタイムで走らせながら無線で会話するだけでも大変な中、フェルスタッペンは無線から聞こえてきたマルコの着信音さえ、聞き逃さなかった。いかに脳の処理能力が優れているかがわかる。

 '19年から昨年まで約6年間、フェルスタッペンと仕事をした経験を持つホンダ・レーシング(HRC)の湊谷圭祐エンジニアも、ほかのドライバーとの最も大きな違いは、脳のキャパシティだと語っていた。

「いろんなF1ドライバーを見てきましたが、マックスほど常に余裕を持ってクルマを走らせているドライバーは他にいません。余裕があるからこそ、エンジニアから無線で指示を受けても、コクピットの中でステアリングをいろいろと操作して、すぐに対応できる。普通のドライバーはそこまで余裕がないので、無線で指示を受けた後、次のストレート区間が来るまで操作ができないことが多いんですが、マックスはコーナーとコーナーの間のちょっとした区間ですぐに対応していました」

サイドミラーに映るマシンに反応

 フェルスタッペンが余裕を持ってマシンを走らせているというエピソードはこれ以外にもある。例えば、コースサイドに設置してある大型スクリーンで他のマシンのピットストップの状況を見て、「自分たちはどうするのか?」と無線でエンジニアに確認したこともあった。また、現在のファステストラップはだれが持っているのかを常に大型スクリーンで確認し、自分がそのタイムを塗り替えるには、レース終盤に向けてタイヤをどれくらい温存しておくのがいいかを考えながらレースしていたこともあった。

 昨年のカタールGPでは大型スクリーンではなく、自分のサイドミラーに映るマシンとの距離感に彼のセンサーが反応した。このレースでトップを走っていたフェルスタッペンは、2番手のランド・ノリス(マクラーレン)と優勝争いをしていた。

【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の「90%は脳みその出来で決まる」マックス・フェルスタッペンは“非凡な脳”で超速を生む「エンジンのラグへの解像度が高い」【F1絶対王者】で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

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