ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
「先輩方はキャバレー回りから始めて…」クラッシュ・ギャルズはいかに女子プロレスを“変えた”のか? ライオネス飛鳥が抱いた「時代を壊したい」という夢
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byAFLO
posted2024/12/16 11:03
ライオネス飛鳥が振り返る“クラッシュ・ギャルズという社会現象”
飛鳥 松永兄弟が女子プロレスを始めた時はキャバレー回りでリングなんかなくて、マットを敷いてやってたらしいですからね。で、これは絶対に冗談だと思うんですけど、投げたときにお酒の瓶がアソコに入ったとか。
玉袋 ワハハハハ! スッポリと。けん玉じゃねえんだから(笑)。
椎名 そういうことを言うんですか(笑)。
ADVERTISEMENT
飛鳥 その当時の諸先輩方は、そういったキャバレー回りから始めているので、ある意味、松永兄弟も凄いなと思うんですけど。
玉袋 言ったら酔客相手のエロ混じりの見せ物だったのが、ビューティ・ペアやクラッシュ・ギャルズではゴールデンタイムを席巻するまでになるわけだからね。
スランプだった飛鳥を変えた“長与千種との一戦”
ガンツ クラッシュ・ギャルズは試合内容でも女子プロレスを変えましたよね。女子プロの“様式美”的なことを破壊したというか。
飛鳥 その最初の試合が、クラッシュ・ギャルズの原点ともなった試合なんですよ。自分が全日本チャンピオンで千種が挑戦してくる後楽園の試合(83年1・4後楽園ホール)だったんですけど。当時、体も細くて勝てずに下で燻ってた千種から試合前、「このまま(トップに上がる)順番待ちしてても時間がかかるから、禁じ手なしの今までにない試合をしたい」って言われて。私も松永兄弟から「試合がつまらない」って言われてスランプだったんで、「いいよ」ってなって。これまでの女子プロレス=華麗な試合、きれいな試合っていうのをぶち壊したのが、後楽園での一戦だったんですよね。
ガンツ ナマで攻撃を入れ合うような過激な試合をしたんですよね。
飛鳥 その試合でファンの方がすごく反応してくれて、松永兄弟もこれはいけるんじゃねえかとなって、「お前ら組め」って言われて千種と組むようになったんです。やっぱり時代を壊したいっていう思いがあったんで、名前はクラッシュ・ギャルズになって。《インタビュー最終回に続く》